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2017/09
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「火の魚」は素敵な大人の恋物語でした

火の魚~室生犀星原作、原田芳雄&尾野真千子主演のドラマを視聴しました火の魚は素晴らしいドラマでした。おばさんは、ベタな恋愛モノはかなり苦手なのですが、このドラマは実によかったまた何度でも見たいです(^O^)/


病むこと、老いること、死ぬこと~すべて人間の運命でしかないこの過程において、あれほどまでに「恋」という感情を美しく描くことができるとは、正直とても驚きました後で読んでみなくちゃ。おばさんは室生犀星の作品はまだ一度も読んだ事がなかったのですが、書棚の飾りと化した一冊を手にとって見るのも悪くないかも~そう思ってしまったほどです


~実際に覗いてみたら、この作品のテーマとなった「金魚の魚拓」が表紙を飾ったという「密のあはれ」が収められておりました


またこの主役のふたりの演技が絶品でした。原田芳雄さんはともかく、(おばさんはカーネーションは見ていなかったので)尾野真千子さんにはビックリいたしました。元気な女性~というイメージしかなかったのですけれど、しっとりしたこのような役も見事にこなされるとはこっちの方がダンゼン好きだわ~~実に感動的でした。


この「火の魚」という作品(ドラマ)は既に数々の賞を受賞しているとかで、もう今さらあらすじでもないでしょうが、この受けた感動を表す手段が、おばさんには「自分なりの表現であらすじを語る」ことしかないのです。だから、今日もまたうるさく語らせていただきまする。お時間に余裕がおありの方はどうぞおつき合いくださいますように


主人公の男性、村田省三(原田芳雄)は「そこそこに売れている」官能小説家。村田を紹介していたのが「つがいの金魚」という仕立ても面白かったですね。実際にはその後ろにいたご夫婦が話してらしたようなのですが


おい金魚、聞いてるか?

東京で暮らしていた頃は、ベストセラー作家と呼ばれ、タバコに酒、女~と絵に描いた様な荒みきった生活をしていた村田でしたが、ある時、胃に腫瘍ができたと知らされます。もしかしたら癌かもしれない。そう思っただけで心臓が縮む思いをした村田は、これまでの生活を一切改める決意をしました。結局、腫瘍は良性だったらしいのですがでも世界が一変したのですね


空気のきれいな田舎に引っ込み、毎日玄米を食べては3km歩く。楽しみは、他人に「意地悪」をして嫌われることだけ。ふん、嫌われて大いに結構。もっともっと嫌ってみろ。おれはこれでもまだまだ有名な「作家様」なんだぞ


この意地悪の対象は、島の人間だけに限りません。作品を取りにわざわざ島まで足を運んでくる編集者などは、まさに絶好のターゲットなのです


あ、村田先生ですか。今日はいつもの伊藤の代わりに参りました。折見とち子と申します」


何?、「あ、」とはなんだ、「あ、」とは!!


伊藤がこれないのはなぜだ?首の骨でも折ったのか?それとも女房でも死んだのか??俺の作品を取りにこれない理由はなんだ!?


次々に繰り出される嫌味の連発に、折見はただ静かに答えるだけです。いいえ、首の骨は折れてはおりません。妻も死んではおりません


「大作家」の俺に向かって、「あ、」などと声をかける女になど、俺の作品は渡さんっ!さっさと帰れっ!!


と息巻く村田の「気」が変わったのは、折見が砂浜に描いた、それはそれは大きくて見事な龍の絵を見たからでございましたあんな絵を見たら子どもでなくても嬉しくなりますね~


「わざわざ編集長に電話」をかけ、折見を呼び寄せた村田は原稿を渡してその話を切り出します。あれはおまえが描いたのか?


学生時代、人形劇の舞台美術を担当していたという折見に、島で娯楽のない子ども達のために、その人形劇を見せてやってくれと命じる村田。わざわざおまえに原稿を渡してやったのだからそれぐらいしても罰は当たらない。本当は自分が見たかっただけなのですが


村の書店の店主が、あいつの本は店に置きたくないとぼやくほどのレベルの低い作品を書いているわりには、どこまでも居丈高な村田でございますがま~上から目線なんてもんじゃありませんな、折見はこれに素直に応じたようでございます


最初に披露した作品はオスカー・ワイルドの幸福な王子。この選択にもやられちゃいましたね~おばさんもこの作品が大好きなのです


人形劇というよりは上等な紙芝居のようなその映像に、こちらまでうっとりしておりましたがなかなか素敵でしたね~、折見はこれが納得いかなかった模様です。セリフが少し早すぎた。間がとれなかった


が、子供達、そして村田には大変好評で、結局折見はその後も人形劇を続けることになりました。ついでに?折見は村田の専属担当者になったようです。


おまえはだれの作品が好きなんだ?


そう村田が問いかけた時のやりとりがまた印象的でした売られたケンカを買いました(^O^)/。カポーティやチェーホフが好きだと語る折見に対し、そんな作品が好きなおまえが、俺の作品を素晴らしいと思うはずがない、と絡む村田。


すると折見は、その眼差しを村田に向けてきっぱりこう言うのです。はい、そうは思いません


仕事だから仕方なくそう答えてきたが、本音を言わせてもらえば最近の作品は読むに耐えないと続けます。昔の作品は素晴らしかったのに、先生独自の世界を描いておられたのに、今の「金魚娘」は話にならない低俗さだとこき下ろします


いったい何を怠けておいでなのか?そんなヒマがどこにおありになるのか?


おまえに俺の気持ちなど分からない。俺は一度この目で「死」を垣間見た。それを恐れてどこが悪い?28歳のおまえになんか分かるものかっ!


死など恐れず思うがまま生きていた頃には「傑作」が書けたけれど、健康に生きようと「守り」に入ってしまってからは、駄作しかかけなくなったという自覚は、村田にも大分前からあったようです。


そして村田は、この駄作に自ら終止符を打ちました殺したぞ。連載の主人公~男性から大変人気の高かった「金魚娘」を殺し、その表紙に金魚の魚拓を使おうと言いはじめます。その金魚は、いつも村田が世話をしていた金魚なのです。


このシーンは辛かった

魚拓を作るためには金魚を殺さなくてはなりません


殺して悪い魚などいるものか!もうやけくそです


またしても意地悪な言葉を投げつける村田に、折見はとうとう頷きました。それで先生のお気が済むのでしたら


涙をポロポロ流しながら魚拓を作る折見の手元を、苦々しい顔で見つめる村田。


もうその頃は大分後悔をしていたはずで、さすがに「詫び」の印にとご馳走をふるまおうとしたら「鯛の刺身」が出てきてしまい、折見がその鯛の目をチラチラ見ながらも、ただ黙々とその切身を口に運ぶのを見た時にはよりによって生き造りとは・・・、得意の毒舌はまったくなりを潜めてしまいました


悪い事をした、申し訳なかった


そう思いながら、次に折見が来るのを心待ちにしていた村田ですが、折見は一向にやってくる気配がありません。東京に電話してみると、なんと折見は癌で入院したというではありませんか!?


「元気な金魚を送って折見に見せてやるんだっ!!死なない金魚もいると分からせなくてはっ!


近所の雑貨屋にそう怒鳴り込んでいった村田は、そこの女主人にこう諭されてしまいます。


「それは~先生が行かにゃあならんを持ってな。女は花が好きじゃけん


こうして数年ぶりに都会へ出てきた村田は、白いスーツに身を包み、豪勢に2万円を差し出して買った赤いバラの花束を抱えるといういでたちで、折見の入院する病院へとやってきました。


さすがに豪勢でしたね~

病室に彼女を訪ねるとちょうど折見はそこにはおらず~病院内をうろつくと、ひとりぽつねんと座っている彼女の姿が目に入ります。頭には帽子をかぶり、病衣を来て点滴のポールを横に立てた折見の姿を見つけた村田がそこに駆けつけた時はでも、もう折見の姿はどこにも見当たりませんでした


仕方なく、そのままの格好で外の芝生に座り込む村田。どうやらそこに2時間も同じ格好で座り込んでいたようです。


「先生、お久しぶりでございます」


いつもとまったく変わりなく、黒っぽいスーツに見を包んだ折見が目の前に立っていました。でもおそらくは、治療で抜けた髪を隠すための帽子は深くかぶったままです。


そんな豪華な花束を抱えた先生がそこに2時間も座り込んでおられますから、病院中の女どもが色めきだっております


「すまなかった


自分も癌という病気について調べたことがある。何よりもストレスが良くないのだ。俺のようなものと関わったことがおまえにとって不幸だった。本当に申し訳なかった


そう謝る村田への折見への答えは実に意外なものでした語られた真実


逆ですよ。先生


なんと折見は自ら担当を買って出たそうなのです。村田の過去の作品を高く評価していた折見は今の作風に心を痛め、村田がその中に見せる「孤独」それも「無惨なまでの孤独ぶり」を自分なら分かってやれる孤独なのは自分だけじゃなかった~そう思って折見は村田に近づいてきたのだそうです何もかも承知の上でやってきたのです


人は死を意識した時に果てしない孤独を感じる


以下、病と老い、避けきれぬ壁に突き当たったふたりが最後に交わす言葉ですこれはよかったな~


:(両手に抱えきれぬほどの花束を差し出し)買ってきた。いるか?


: はい。私、今、もてている気分でございますこの奥ゆかしさもたまりませんvv


: あながち気のせいでもないぞ


なんともじんわりと心に残る台詞でございます


何も言うな。行けもう入れ


深々と頭を下げて戻っていく折見をじっと見つめる村田これが最後になるのか~。入り口の前でもう一度振り返り、こちらを見つめる村田に向かってもう一度深々と頭を下げる折見先生どうかお元気で


村に帰る船に乗りながら、村田が心の中で折見に呼びかけるシーンもまた実に印象的でした折見、大丈夫だ


おれとて後に続くのにそんなに時間はかからんさ。でも、もし叶うなら、今生、どこかでまた逢おう。


タバコ吸いてえ~っ!!


作家としてもう一度生きてみようと思った瞬間でありましょうか


奇しくもこの村田を演じられた原田芳雄さんご自身も大腸がんを患っておられ、このドラマ撮影の頃にはとっくに「余命宣告」がなされていたと聞きました。最後の最後まで役者として生きられた原田さんではございましょうが、何かこのドラマの村田にも相通ずるお気持ちがあったのでは?などと思いを馳せずにはいられませんなんとも胸が詰まりました


亡くなられても尚、心に残り続ける素晴らしい作品を残してくださいましたことに心から感謝したいと思います。本当にありがとうございました。あらためてここに原田芳雄さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます素晴らしい俳優さんの死を心から悼みます


これまでに視聴した日本のドラマ視聴リストはこちらです: 視聴ドラマ一覧~日本のドラマ編

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