あさが来た あらすじと感想 第9週 炭坑の光
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NHK連続テレビ小説の【あさが来た】の第9週は「炭坑の光」です。これまた温かくて素敵なエピソードでございましたね。
あさが福岡にやってきたきっかけは確かに加野屋を救うためであり、それは今でも変わってはおりませんが、炭鉱で働く人々と触れ合うにつれ、彼らの幸せをも願うようになったというところが素晴らしい。やはり「夢」というものは、それを持つだけで人間に勇気と希望を与えてくれる
~あさがそれを十分に分かっているというところがまたこのドラマの素敵なところでござりまする
。
加野屋の炭鉱ビジネスは順調に進み、あさも皆から慕われるようになった中、1つの問題が持ち上がりました。それは、未だにひとりだけ目つきの鋭いサトシが、納屋頭として皆の上前をはねているらしいこと。それにこのサトシの組だけが仕事をさぼりがちで、他の組に比べて収穫が格段に劣るそうなのです
。
これを聞いたあさは、こうした中間での搾取が起きぬよう、褒美=ボーナスを支給することを思いつきました。採掘量に見合っただけの褒美を出せば、褒美のために頑張ろうとやる気が起きて、一層仕事を頑張るようになる
、まさにwin-winの構図です
。これは組ごとに競わせて、採掘量の多かった組の坑夫に平等に、しかも納屋頭を通さずに直接支給するそうです。
また、飯場で必要な道具や食料品などのこまごましたものの仕入れも納屋頭の仕事だったようなのですが、彼らはこの値段を勝手に決めて坑夫たちに売り、その差額を己の懐に入れるのが慣例らしかったため、これもまた加野屋がまとめて仕入れ、坑夫たちに直接売ることにする、と断言します。
うちは、頑張ったら頑張った分報われるようにしたい、皆が夢を持てるようにしたいんだす!
が、支配人や親分は、そう簡単にしきたりを変えることはできないと心配顔です。何せ気の荒い坑夫たちを仕切るには、どうしても納屋頭が必要だからです。それに納屋頭にも彼らの生活があるから、と。
でもこれを聞いていたカズは、そんなことが実現したらどんなに楽になるか、とつぶやきました。とはいえ、差し出がましかったと思ったようで、すぐにそそくさと逃げ出してしまいます
。その後を追ったあさが聞き出したのは、あさにとってはとても意外な答えでした
:
ここにいる物は「夢」など持ちようがない。仕事は命懸けでいつ死ぬか分からない。太く長く生きたいとその日ぐらしをしている者がほとんど。「夢」や「希望」などという言葉はまぶしすぎて考えもつかない。
そんなカズの言葉を聞いたら、ますます黙ってなどいられなくなるのがあさなのです。なんとしても坑夫とその妻たちに「夢と希望」を与えなければっ!!
そうするには、自分がまず率先して彼らと苦労とともにすべきだと決意したあさは、それから朝もまだ明けぬ暗いうちから起き出して、夜は疲労で他に何もできぬようになるまで働き詰めに働きました。今回炭鉱に来る前には、
新次郎の浴衣会
でその三味線を聴くのを楽しみにしていたのですが、それにも帰れそうにありません。それが坑夫たちのためだと分かっていても、亀助相手についこぼさずにはいられないあさが何とも健気で哀れでしたね。
うちかてほんまは人並みに旦那様の側にいてて、お世話したり、いつかやや子を育ててみたいて思うこともあるんだす
。
せやけどなんやろ。今は気張れば気張るほど旦那さまから離れてしまうみたい。旦那様はひとつも悪い子とあれへんのだす。うちが旦那様の優しさに甘えてますのや。お母はんは「胸張って生き」て言うてくれはったけど、このままやったらうち、嫁失格やなて。
初めて知ったあさの本音にうつむく亀助がまた優しいですよね。
その姿にハッとして、自分らしくない愚痴をこぼしてしまったと、逆に亀助を励ますあさがまたいかにもあさらしくて泣けてしまいます。その上あさは、今では坑夫たちのことも自分の家族のように大事に思っているのだと笑います
。
ちょっと離れたところでこの会話を聴いていたカズもまたあさの気持ちに感激していたところ、そのまた奥で一部始終を耳にしたらしい親分が、これまた大感動でカズの肩に手を回して涙ぐんでいたのに
、カズの顔を見た途端、我に返って大いに慌てていたのが何とも微笑ましかったですね
。
そしてあさはついに自分の考えた改革案を皆に発表することにしました。ちゃんと治郎作親分の意見も取り入れ、納屋頭への手当ても払うと配慮しますが、案の定、サトシが先頭を切って猛反対です。
口ではうまい事を言っても、結局儲けるのは加野屋だけだ。命懸けで石炭を掘っているのは俺たち坑夫なのに、威張っているのは銭を持っている加野屋だ。世の中銭たいっ!!
これほど「銭」に恨みを持っているサトシの姿に、ああやっぱりサトシは新次郎の幼馴染に違いないと確信した方も多かったことでしょう。
せっかく坑夫たちがあさの申し出に喜びかけたところだったのに、皆はサトシやもう一人の納屋頭=福太郎(北原雅樹)に遠慮をし、これに賛同し始めます。
なんでだす?今のままでほんまにええんだすか?何で勇気だして、今を変えようとしはれへんのだす?うちは、みんなにその日暮しやのうて、夢持って働いてもらいたいて。。。
夢なんかいらん!夢なん、金持ちのみるもんちゃ。
それでもあさは決して諦めませんでした。体中を真っ黒して1日中働きます。
うちの言葉が皆に届かへんのは、ここで働くみんなの気持ちを分かり切れてへんさかいだす。今まで何不自由ない暮らしさしてもろてたうちがちょっとでも皆に近づくにはこないして一緒に働くのが一番ええ思て
。
その上あさは、反対を覚悟で、納屋頭一人一人を訪ねては、話をして回ったのだそうです。納屋頭達は、あさと一対一になると恥ずかしそうに「考えん事も無いんだけど」と譲歩の姿勢を見せるものの、サトシが遠くでにらみを利かせるとなかなかうんとは言えないのが辛いところです。
でもようやくその中のひとり=福太郎が、あさに賛成してくれました。福太郎は幼い頃から「絵」が得意だったそうで、母親からは将来は絵描きになれると言われたのだとか。あさの「夢」の話を聞いてその時の気持ちを思い出したのだそうです
。
俺は、姉御ん事好かん事ならん(=好きじゃないという訳ではない)
あんたを信じてみる。
こうしてあさに反対する納屋頭は一人ずつ減っていき、ついにはサトシの組だけを残すばかりになったのだそうです。
あともうひと踏ん張り~と張り切るあさですが、体力的にはもう限界に来ていたようです。そんなあさを見かねたカズと治郎作親分はついにあさに意見しました
。
たまには休んでください。大阪にも帰ってください。
ひとりだけそんな「ワガママ」はできぬと言い張るあさを、治郎作親分が叱りつけます。
ワガママいうのは勝手気ままに動く者の事。あんたはどっちか言うたらその逆たい。自分の事はほったらかしで。もっと自分を大事にせえ!バカっ!!
これにはあさもびっくりぽんで、亀助は気色ばみましたが
、カズは「バカ」こそ親分の最高の褒め言葉
だととりなします
。
こん人は奥さんの事好いとうとです。ほかの坑夫たちもみんなそうですと!
ちゃんと感謝の言葉を口に出せ、弱っている女子に声もかけられぬ男は腑抜けだと言われ、ようやく「おおきに」と頭を下げる治郎作です
。
あんたに元気がないと俺たちも元気が出ない。あんたに負けんよう皆一生懸命働いている。働くことが好きじゃなかった連中もだんだんよく働くようになってきた。皆毎日楽しそうに掘っている。こんなことは初めてだ。あんたのおかげだ。感謝している。
あんたの気持ち、ちゃ~んと伝わっているけん
。
山の男らしくいかにも訥々と不器用にでも誠実に語られた治郎作の言葉を皮切りに、あちこちからあさへの感謝の言葉が飛んできました。おおきに!姉御の事好いとうと!おおきに奥さんっ!!
これに応えて真っ先に泣きだしたのが亀助だというのも楽しかったですねえ。ずっと孤軍奮闘してきたあさの気持ちを一番分かってくれていたのもこの亀助なのです
。
ずっと報われへん思てたもんで。よろしおましたなぁ、若奥さん。
本当に、これでようやく報われたあさは、ついに大阪に帰る決意をします。
そのちょこっと前には五代友厚もまたあさを励ましに立ち寄ってくれました。海には「ペンギン」という鳥がいる。ペンギンは泳げないけれど海の中を泳ぎ回る。中でも危険がいっぱいの海の中に真っ先に飛び込む勇気のあるペンギンを「First Penguin」(あまりにも発音が良過ぎるので英語で書きたくなります
)と呼ぶのだそうです。
あさはまさにそのFirst Penguinだから胸を張れ!と友厚が熱く熱く語り聞かせたというのに、あさにはその半分ぐらいしか理解できなかったようなのがまた笑えましたね。何せあさはその時まだ起きたばかりで、半分夢だと思っていたらしいのですから。やはり友厚は「Husband」(夫)にはなれず「フレンド
」どまりになりそうです
。
そのあさが帰り支度をしてサトシに挨拶に行くと、ようやくサトシが「新次郎」の名を口に出しました。新次郎さんはお元気ですか?
それが何を意味するのかもあさには分からずじまいですが、我々はやっぱりね~と悦に入ってしまいましたよね
。これでサトシも再び人間の誠意を信じてくれるようになってくれればよいのですが
。
その後あさはようやく大阪に戻り、正吉の許しも得て、晴れて新次郎の三味線を聴くことができました。それにどうやらようやく子作りの時間も取れたようで何よりです
。あ、これまた妄想のし過ぎでしょうか
。
一方はつもまたようやく惣兵衛に和歌山の土地の権利書を見せ、家族にもこれを明かしましたが、喜んでくれた栄達や惣兵衛に反し、菊は猛反対でした。菊はいつかまた山王寺屋を復活させると心に誓っていたのだそうです。
が、惣兵衛はそんな反対にもめげず、ひとり早速和歌山の土地を見に行って来たようでしたね?あの手に持っていたみかんを見る限りでは、和歌山の土地はなかなか肥えた良い土地のようでしたが?
さて来週はついに正吉が隠居をするようです。加野屋の身代を継ぐのは果たして新次郎なのか、それとも18になったという榮三郎(桐山照史~弘基@真夜中のパン屋さん)なのか、はたまた「あさ」なのか。
いずれにしても、来週はまた大きな動きがありそうですね。あさが来たは続きもとっても楽しみです
。
朝の空を見上げて今日という一日が笑顔でいられるようにそっとお願いした~この主題歌がまた実にいい
、是非弾き語りしてみたい
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