あさが来た 最終週 あらすじと感想 柔らかい夫婦の優しさあふれる物語でした
~あさが来たのあらすじと感想はこちらからご覧いただけます: あさが来た あらすじと感想一覧 全26週156話~
NHK連続テレビ小説の【あさが来た】の第26週(最終週)は「柔らかい心」です。いや~泣けた~。朝の連続テレビ小説でこんなに号泣させられたのは生まれて初めてかもしれません
。以下ネタバレのあらすじです
。
やはり新次郎の病はかなり重症だったようです。病名は明らかにはされませんでしたが、胃がんか何かのようでしたね。
新次郎のお茶仲間だという医師(渡辺いっけい)の目を見ただけでそれを察したあさは、自分の体を切り取ってでも、どんな薬を使っても、旦那様を助けてほしいと泣きすがりますが、医師は「寿命」は誰にも変えられない、良い時を過ごしてほしいとしか言えません
。
あさは何とか気力を奮い起こし、以前新次郎が希望していた「富士山の見える別荘」を建てようと新次郎に語りかけると、新次郎はもうその話はいい、この家で最後まで皆と一緒に過ごしたいと答えました。今や戦争や交通事故で死ぬ時代に、自分は愛する妻とこうして寄り添っていられる、それだけで幸せなことだというのです。
ふたりで病院に行った際、待合室で不安げなあさに新次郎が掛けた言葉も忘れられません。これも見事な伏線でした:
なんて顔してますのや。あのな、わてもうええ年だっせ。もしどっか悪なって、ぽっくり逝くような事があったとしても、そらあさは「はぁ、 びっくりぽんや」言うて笑てくれな。なぁ?
それからあさは、精力的に仕事を片付けた後はキッパリ全てから手を引き、新次郎と過ごす日々を選びました。後に、大隈綾子に語ったように、気恥ずかしくなるほど新次郎の顔を見つめて過ごす毎日はとても貴重で忘れられない日々だったに違いありません
。以前新次郎が、あさが忙しく&楽しく働いているのを喜ぶ半面、いつも寂しそうにしていたことを思い出しますね。
でもようやくあさは、大好きな仕事より新次郎が大切だ、新次郎ほど大切な人はいない、と思い知り、最後の一瞬までそのそばにいようと決めたのです。それを聞いた新次郎のまた嬉しそうなことったら。
そんなあさに新次郎は、自分が逝ってしまった後もあさが寂しくないようにと、庭に植樹をしてくれました。植木職人(山口智充)が持ってきたたくさんの樹木の中からあさが選んだのは、思い出の梅の木です。しかもあざやかな紅梅です。
梅はうちのぱちぱちはんとおんなじだすさかい
新次郎は、あさが幼い頃、ぱちぱちはんとそれはそれは嬉しそうに踊っていたため、せいぜい楽しく踊ってほしくて、良い音の鳴る「雲州」でそろばんを作らせたのだそうです。これ気になってちと調べてみたら、雲州とは島根県(出雲)の別称であり、雲州そろばんは、高くて良い音が鳴るようにと梅の木を「珠」に使って作ることで有名で、江戸時代からあった日本の代表的な工芸品なのだとか。
お茶も三味線も謳いもすべて名人級だという新次郎のこだわり=配慮が伝わってきますね。
その新次郎が、久しぶりに気持ちがいいからと言って、あさの目の前で三弦を奏でたシーンも実に良かった。これを、障子を隔てた部屋の前では亀助とうめが、少し離れた部屋では千代と啓介が、新次郎が名付けた「多津子」を抱いて聞いていたのが印象的です。
多津子という名には「多くの恵みの雨が降るように」という願いが込められているそうです。嬉しいことがあると必ず雨が降るという、自他ともに認める雨男の新次郎らしい名前です。
その後、庭の真ん中に植えた梅の木が咲く春がやってきました。仕事は辞めても、訪問者の多いあさが、その話を新次郎に聞かせていると、新次郎は、これからもあさは大勢の人にぱちぱちはんを渡してあげなくてはと言いかけて、バッタリ倒れ込んでしまいます。
もう朝まで持たないだろうと言われて駆けつけた皆を前に、最後の別れをする新次郎。あさの胸に抱かれながら、ひとりひとり、新次郎らしい優しい言葉を掛けたのに、最も気心の知れた亀助には、そろそろあさとふたりにしてくれと言ったのにも泣かされました
。
~家族写真を撮った時も、亀助とうめもいれた写真を撮ったのも嬉しかったなあ~
おおきにな。今まで長いこと、おおきに。みんな、おおきに。
新次郎とふたりきりになったあさは、もう無理はしなくていい、誰にも気を使わなくていいと言いながら、ただただその手を握りしめていました。その柔らかい手を握りながら、新次郎は、いつもそばにいるから忘れんといてくれ、と囁きます。
そばにいてるさかい。あさ。あーさ。
これが最期の言葉となりました。本当に、どれだけあさのことを愛していたのかが偲ばれます。
が、新次郎の愛情はその死後にも示されました。
新次郎が寝込んだという噂が広まって以来、見舞客がひきもきらなかったそうですが、その葬儀にもそれはそれは大勢の人々が駆けつけて来たそうです。当然あさは、妻として気丈にと振る舞っていたのですが、どうにもこうにもたまらなくなって廊下に出ると、たまらず泣き出してしまいます。
植えたばかりの紅梅が数輪花をつけている前で顏を抑えていたあさの手に、雨が一粒落ちてきました。それを感じたあさは、驚いて空を見上げます。
はぁ~びっくりぽんや。
雨粒になって落ちてきてあさを包み込んでくれた新次郎をその手で捕まえるかのように空に両手を伸ばしたあさは本当にうれしそうでしたね。新次郎も、あさに気持ちが伝わって、あさの「びっくりぽんや」が聞けて、きっと満足していることでしょう
。
その後あさは、富士山の見える御殿場に別荘を建て、勉強会を開くことにしたそうです。これは、前回ご紹介させていただいた大同生命のHPの中にその写真と説明がありました(晩年の浅子)。
そこにはドラマにあったように栄三郎の娘たちや、以前の朝ドラに登場した村岡花子氏、また、平塚らいてう同様日本の婦人参政権運動に尽力した市川房枝さんもいらしたそうです。まさにあさは、日本の女性の未来を切り開いたパイオニア、否、First Penguinだったのですね
。
そして、そんなあさを最も理解し、愛し、誇りに思っていたのは、新次郎に他なりません。ドラマの最後では、すっかり若返った新次郎が登場し、その姿を見てびっくりぽんなあさが、それまでは杖を突いてようやっと歩いてはったのに、いきなり大股で走り出し
、若かった頃の、可愛らしい姿となって新次郎に飛びつきます
。
ご苦労さん。今日もよう頑張ってはりますな。
へぇ。旦那様。
新次郎ももちろんですが、一見男勝りなあさも、その中身は誰よりも柔らかい(しなやかな)心の持ち主だったと確信して疑いません。菜の花が咲き誇る海の見える丘で、嬉しそうに見つめ合っていたあさと新次郎の優しい優しい夫婦の姿は、きっと忘れられないことでしょう。
また、新次郎の見舞いにと、はつや雁助のみならず、治郎作親分と宮部までが顔を出してくれたのは実に懐かしかったですね。そうそう、あさはあんなに泥だらけで山越えしたのに、新次郎は豪華な駕籠に乗ってやってきて、虫が嫌だと文句を言っていたのも今となっては本当に楽しい思い出です
。個人的にはあの炭鉱でのエピソード(=あさの青春編
)が一番好きだったかもしれません
。
それに、最後になってや~っとふゆ役の清原果邪さんが、亀助とふゆの娘役の「なつ」として再登場していたのも良かったですね。雁助は奥さんが他界したそうで、ようやくうめに、時々文をやり取りしようと誘っていたようです。このふたりの奥ゆかしい恋もまたたまらなく好きでした
。またはつも、惣兵衛亡き後も子供や孫たちに支えられ、まだまだ頑張ると思えたようで何よりでした。
あさは、新次郎から前に進めと言われて嬉しくなり、前に進み過ぎてしまった
、と言っていたけれど、そうやって猛進しながらも、常に周りの人々への配慮を忘れること無く、皆を幸せにしていった、そのあさの優しさが皆に波及して、皆もいつの間にか素直に=心が柔らかくなっていったのを懐かしく思い出します
。登場人物み~んなの優しさが本当に心地よいドラマでした。大満足です
。
また最後になりましたが、毎週欠かさず足をお運びくださいました方々にも厚く御礼申し上げます。来期はおそらくお休みすることになりそうですが、また何か楽しいドラマをご一緒できますよう願っております。気候が不安定な折から、どうぞご自愛くださいますように
。
これまでに視聴した日本のドラマ視聴リストはこちらです
: 視聴ドラマ一覧~日本のドラマ編
- 関連記事
-
- あさが来た あらすじと感想一覧 全26週156話+スピンオフ
- あさが来た スピンオフ あらすじと感想 割れ鍋に綴じ蓋
- あさが来た 最終週 あらすじと感想 柔らかい夫婦の優しさあふれる物語でした
- あさが来た あらすじと感想 第25週 誇り高き人生
- あさが来た あらすじと感想 第24週 おばあちゃんの大仕事