Nのために あらすじと感想 第9話 さざなみ放火の真犯人
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湊かなえさん原作の【Nのために】、9話は「エリート夫の嘘と罠・・・炎に消えた真実」です。これもまた実に深い内容でしたね~。ローズガーデン事件の謎解きは最終回に持ち越されたようですが、さざなみへの放火犯はついに明らかになりました。以下早速ネタバレです。
やはり成瀬は犯人ではなく、その父=周平が真犯人だったそうです。これは今回高野の妻の夏恵によって明らかにされました。
14年前の事件当夜、火事の知らせを聞いてさざなみに駆けつけた夏恵は、周平が放火をしたことに気づきますが、自分が死ねば保険金で慎司を大学に行かせてやれると語った周平が哀れになり、その周辺にあった放火の証拠をすべて隠滅したのだそうです。周平を助け出した後、ライターオイルの缶から指紋をふき取り、その缶を外に捨ててしまった~つまり、警察官の妻でありながら
犯人隠避と証拠隠滅
という罪を犯してしまったのです。
そう言えば周平が運び出された後、夏恵はしばらく経ってから救出されていましたよね。もうひとり、慎司が残っていると思い込んで捜していたのかな、と思っていたけれど、その時間差にはこんな事実が隠されていたのですね。
もし自分が真相を話したら、夫の経歴に傷がつく、他にも傷つく人がいる~そう思うとなかなか言い出せなかったという夏恵は、高野が定年を迎えた今になってようやく打ち明ける気になったそうです。夏恵の失語症が治らなかったのは、この精神的なストレスが原因だったのですね。
夏恵はこれらを書き残し、自分はひとりで警察に出頭するかにも思えましたが、その後駐在所に保護されていたようです。
夏恵の手紙によって真相を知った高野が成瀬にこれを見せて謝ります。君を疑って済まなかった!
済まなかったじゃ済まんよ~と言いたい所なれど、成瀬自身は薄々この事実に感づいていたにもかかわらず、敢えて濡れ衣を晴らそうとはしなかったのだとか。親父はあれから俺と目を合わせなくなった。俺が疑われていたから、むしろそれで良かったと思った。
でもそんな成瀬を庇った希美はどうなるんや~と思わずにはいられなかったんですが、どうやら希美もまた、ここで成瀬と「罪を共有」することで、力を得ていたのだということが判明します。この辺がこのドラマの実に心憎い演出ですね。
希美は、さざなみから燃え上がる火を見て、自分の忘れたい過去がすべて消えてくれたような気がしたそうです。これで上に行ける、前に進める!そう思えたからこそ、希美は頑張れたのだとか。
成瀬君が火で私を救ってくれた~希美はそう考えたのだそうです。だからこそ、大切な友=成瀬~Nのために、自分ができる限りのこと=嘘の証言をしたのだそう。
成瀬くんならどんなことだってできるよ
希美にそう言われた成瀬もまた、その言葉に大いに励まされたそうです。
経緯はどうあれ、結果が希美にプラスに働いたのなら、それはそれで良かったかもしれませんけど、それから数年後に起きたローズガーデンの事件はやはり、希美にとっては大きなストレスだったに違いないとしか思えません。今回西崎が言ったように、
あの事件さえなければ、希美は今頃幸せに暮らしていたに違いない
そう思わずにはいられません。希美が言ったように、奈央子から太助を求められた後すぐに警察なりDV相談室なりに届けでればよかったのに。
そのローズガーデンの事件についても、今回は新たな情報がいくつかもたらされました。前回の予告にあったため、西崎が花屋になって潜入するのは分かっていましたが、N作戦IIにはそれ以外にもこんな変更がなされていたようです。
当初は、成瀬と西崎がケータリングサービスを装って午後6時に野口宅に到着する予定だったようなのを、変更案には、まずは午後5時に希美が先に訪問して、将棋の相談に乗るふりをして貴弘を書斎に足止めしておく、その後5時半に花屋のふりをした西崎が到着し、奈央子を救い出してDVシェルターに駆け込む、そして6時に成瀬が到着する、と書かれていました。
が、問題は、その日がクリスマスイブだったということ。クリスマスに花を買う男が山のようにいることなど、西崎はまったく気づかなかったようなのです。これは希美や成瀬も同様ですよね~ここで世慣れた望ならむしろ役にたっただろうに。
西崎が遅れることほぼ30分~希美はなんとか時間を引き延ばそうとしますが、望が先に到着してしまいます。でも希美は、以前高野にも証言していたように、
「いつもズルをして安藤を負かしている貴弘を懲らしめるためにもなかなか決め手を明かさなかった」
ため、望は上のラウンジで待つよう命じられていました。
この対局の中身もまた凝っていましたね。
なんと望は、以前希美に初めて勝利した受け(守り)を使ってきたのだそうです。当然、負けず嫌いな希美はこれを成瀬に相談し、その突破方法を学習していたのですが、時間を稼ぐため、そして貴弘を懲らしめる意味も込めて、その「手」を教えようとしませんでした。
が、最後の最後、もうこれ以上は引き延ばせないと希美の手が震えはじめたその時、貴弘がその手に気づいてしまいます。
でもそこで貴弘が勝ち誇ったように、これで望を僻地~ダリナ共和国にやれるとうそぶきます。若い頃から色々経験できるのだから、むしろ感謝してほしいね。
この対局に、望の将来がかかっていたと知った希美が愕然としたその時、ようやく西崎が到着しました。ラ・フルール・マキコ様がお花を届けにいらっしゃいました!
これに気づいた希美の頭脳がめまぐるしく回転し始めます。これまではあくまでも奈央子と西崎のためだったけれど、この目の前の男は、もうひとりのN~望にとっても敵だったのだ!皆のために自分ができる最善のことはなんだ!?
そこで希美の脳裏をよぎったのが、西崎のあの言葉でした:
奈央子を旦那から引き離すには「警察沙汰」にするのが手っ取り早い。
その後、希美は貴弘に何かを語りかけたようです。いかにも得意そうなその顔と、驚きのあまり今にも怒りを爆発させそうな顔をして書斎を飛び出していった貴弘の様子を見るにつけ、嫌な予感がいたします。
まさかとは思いますが、希美はここでわざと貴弘に真実を告げたのでしょうか?奈央子さんを連れ出しに来た男がいる、と!?
その時考えていたのは大切な人のことだけだった。 その人の未来が明るく幸せであるように、みんな一番大切な人のことだけ考えた
ああだから、希美も立派な共犯者だったのか~などとまたしても妄想が止められません。
でもここまで来たら、この真相はもうどうでもいいことですよね。少なくとも皆が納得して選んだ道だったのは間違いなさそうですから。
それよりも今回心に残ったのは、西崎が、希美を託す相手として、望ではなく成瀬を選んだことでした。
今回西崎が望を呼び出したのは、希美の病気のことを話すつもりだったのだと思うのですけど、でも結局西崎は望には話さなかったのです。
これまたおばさんの妄想でしかありませぬが、希美は確かに望のことも好きだっただろうけど、今や一緒に生きる相手ではないのではありませんかね。望には明るい将来が待っていて、前科者となった西崎に、何もかもこれからだ、と言って憚らない人間だけど、希美は、どうしたら穏やかな死を迎えられるか、が最優先事項。そんな状態の希美を支えてやれるのは、
「本当に困った時に希美が頼れる相手=成瀬」
しかいない、西崎はそう考えたのではないでしょうか。それは希美が以前、電話で必死に成瀬に助けを求めていた光景を思い出したからのようです。でも、望には~これは望も自覚していたようでしたが、希美は決して弱音を吐かない、決して自分から助けを求めようとはしない、って。
西崎からすべてを聞いただろう成瀬が希美を訪ねてきて、島に帰って、皆の思い出に残る料理を作りたいと語り、希美にも一緒に帰ろうと言ったシーンでは、思わず涙がこぼれそうになりました。ただ、一緒におらん?(いよう)って。
また希美が、ずっと「上に行く」と言ってはいたけど、実際にはそんなに高望みをしていたのではない、食べ物と帰る家があって、それを誰にもとられずに済むならそれで満足と笑っていたのも偽らざる本音なのでしょう。
他には、出所してから初めて父親の元を訪れ、迷惑をかけたと詫びた西崎に対し、その父が、虐待をするような母に西崎を託したことを悔いてくれて、また顔を見せに来いと言ってくれたのも何よりでした。家族だけが支えだとは思わんけど、分かり合い、許し合うことができるなら、それに越したことはありませんから。
それは希美にとっても同じことが言えるでしょう。予告ではあの母親が希美に手を振って送り出していたようなので、ここの親子関係も何とか修復できるといい~母親が成長してくれていればよいのですけど。
Nのために~来週はいよいよ最終回です!
胸が痛かったです
こんさん、こんばんは♪
「Nのために」本当に面白いドラマですね。
暗くて痛いんだけど、なぜかホッとするような場面もあって、完全にはまってます。
さざなみ事件が明らかになりましたね~。
私の妄想は外れましたけど、外れてよかったです(笑) 夏恵さん、ごめんなさい。優しさゆえの苦しみだったんですね。旦那さんは真実を諦めていなかったし、ずいぶん辛かったでしょうね。本当に今さら謝られた成瀬くんも、どうしようもなかったでしょうね。。。悲しい14年目の真実でしたけど、あの火事が希美と成瀬くんの結びつきを深めたんでしょうね。
ローズガーデン事件の真相は来週の最終回ですね。
犯人よりも希美の言った言葉が気になります~。野口、最低野郎ですよね。最後に何があったのか、来週がとても楽しみ?です。
それから、やっぱり希美のこと。
成瀬くんと一緒に島に帰って、末永く幸せに暮らしてほしい。そう願ってしまいます。可哀相です。こちらもどうなるのかな。
最終回がとっても待ち遠しいです。心に残るドラマになりました♪