限界集落株式会社 あらすじと感想 第3話 嵐
【限界集落株式会社】の第3話は「嵐」です。これまたじんわり心温まる素敵なエピソードでございましたね。以下簡単なネタバレのあらすじです。
一時期の勢いはどこへやら、すっかり閑古鳥の住処となってしまった直売所で、美穂は皆に、前月分の売り上げ明細書を渡しています。その額、ほぼ一律3万円。これでは暮らしていけないとぼやかれるのも当然です。
その上役場からは、村を通るバスも廃止すると通告されてしまい、ますます希望の見えなくなった美穂たちの前に、ようやく多岐川が戻ってきます。どうやら多岐川は、止村の会社登記をしていたようです。
「トマリファーム株式会社」 と銘打ったその会社の社長は美穂で、生産責任者は正登だそうです。多岐川は、意外な急展開に驚く正登親子を一切無視し、村を逃げ出した正登が責任者なんて、との不満の声にも満面の笑みを崩しません。
多岐川は既に「愛と有機のトマリ観光農園」というポスターまで用意しており、今後は、有機栽培に特化した観光農園を展開していくと説明しました。以前行った収穫体験のみならず、今後は、作付けから収穫まで参加できる 農業体験施設 を売りにしていくというのです。それには、安心安全かつ、食べて美味しい有機栽培を行っている畑が必要不可欠で、村で唯一、全面有機農家である正登が責任者であるべきだという理屈です。
つまり今後は、村の農家が皆、有機栽培を展開せねばならぬということ。
これを聞いた村人は~鉄平(加藤虎ノ介)を除いて~皆こぞって反対しました。有機栽培のための土地づくりにはなんと10年もかかるそうなのです。農民たちの多くは高齢者ですから、今から有機に変更するのは無理があると、尻込みするのは当然です。
それなら一部だけでも有機にすればと思うところなれど、それにも問題があるのだとか。その有機栽培の畑に虫や病気が出たら、他の畑にも一気に広がりかねないという危険性が常に隣りあわせなのだそうです。
でも多岐川はあくまでも「過程」ではなく「結果」にこだわります。乱暴に言ってしまえば、消費者にとっては、たとえその過程でどんなに手間暇かかろうと関係ない。野菜は結局、出来上がってからの 価格、見た目、安全性、味 のどれかで判断されてしまうからです。そこで多岐川はその中の「安全」「旨い」で勝負しようとしているのです。
これからは、日に2回、各農家ごとの売り上げのデータを携帯に配信します。これで、どこの野菜が旨くてどこのが不味いか、一目瞭然になります。
ここでいつも辛辣な菅原が、農薬使用の是非について語っていたのも、農家の本音であり真実なのでしょう。農薬をすべて否定するのは間違いだ。たとえ農薬を使っても、使い方次第で「旨み」を出すことは可能だ。
「有機でないと旨くない」 と言うのは、頭で食べている証拠だ。
~でもここ10年ぐらいず~っと有機野菜に関心を寄せているおばさんに言わせると、やっぱり有機野菜はダントツで美味しいですよ。味がまったく違います~
この点に関しては、多岐川も重々承知していたようです。なにせ前述したポスターの半分は「有機」で印刷されておりましたが、残り半分は「勇気」となっていたそうなので。
多岐川は皆に怒りを発奮させて競争心をあおり、少しでも良いものを作ろうという奮起させるために、自分が悪者になったのですね。
そしてその思惑通り、観光農園は軌道に乗り、直売所にも再び活気が戻ってきました。
が、ようやくこれで希望の光が見えてきたと思われたその時、「嵐」がトマリファームを襲います。これは、東京時代の正登の恋人(井上和香)が訪ねてきたなんていう話とはまったく規模が違います。
猛烈な豪雨は、皆が収穫を待ちわびていた野菜のみならず、せっかく登が守り続けて、今正登が引き継いだ大切な大切な有機の土地を、すっかり流してしまおうとしているのです。
これにいち早く気付いた菅原が、自分が新しく育て始め、直売所の目玉にするはずだった大塚人参には構わず、真っ先に正登の畑に駆けつけてきてくれたのには泣かされましたね~。菅原ばかりか、他の皆も土嚢を持ってきてくれます。
農業は常に自然との闘いです。どんなに毎日頑張ってきても、その成果はほんの一瞬で壊されてしまいかねません。美味しくて安全な「食」を提供するために、常に「まっすぐな心」でもって大地に向かっている農家こそもっともっと報われて然るべきだと思うのはおばさんだけではありますまい。
でも来週は、また何やら起死回生の展開が見られそうでしたね。あ~あれ、もちきび(もちとうもろこし)、おばさんも大好きだし、ほんの時たまだけどまだ食べられますよ。
なにせタイトルが「大逆転!幻の野菜」だそうですからね~。限界集落株式会社は続きもとっても楽しみです。
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