乱反射 ネタバレと感想 息子を殺したのは誰だ?

メ~テレ開局55周年記念ドラマ【乱反射】を視聴しました。これはなかなか見ごたえのある作品でした。無責任な現代人の特徴を実に鋭く観察し、批判するのみならず、さりげなく自省も促していたのがまた素晴らしかった


以下ネタバレのあらすじです乱反射のネタバレ感想行きますよ~(^^)/


2歳の息子=翔太(小岸洸琉)をベビーカーに乗せて道端を歩いていた加山光恵(井上真央)の上に、突然街路樹が倒れてきました。その日は確かに強風が吹き荒れていましたが、高さ5~6mほどはある大木が、その程度のことで倒れるはずがありません。原因は樹木の根腐れです


木の下敷きになった翔太の頭部からはおびただしい血が流れ出ました。光恵は必死で助けを呼びます。どうやら近くに車を停めてたまたまこの様子を目にしたカップルが通報してくれたようです。


実は光恵はほんの少し前に病院から出て来たばかりでした。夫の(妻夫木聡)の父=(大鷹明良)が入院していたのを見舞った帰りだったのです。本来ならもう少し早く帰るはずが、めずらしく姑の路子(原日出子)から食事に誘われたために遅くなってしまいました。


あの病院へ行ってください!!すぐ近くの病院です!


光恵は当然、義父のいる病院に搬送してもらえるとばかり思っていましたが、救急隊員が連絡を入れたところ、当直の医師=久米川治昭(三浦貴大)が内科医の上、アルバイトだから責任を負いたくないと断ってしまいます。だってまだ診ていない風邪の患者がたくさんいるじゃないですか


救急隊員から状況を聞いた看護師の羽鳥恵美(堀内敬子)は、頭部に外傷を負った子どもの治療が先だと言わんばかりに非難の目を向けましたが、久米川はまったく動じません。だってもし引き受けて死なれでもしたら責任問題になりますよ


それは他の病院でも同じだったらしく、翔太が病院へ搬送されたのはそれから2時間以上過ぎてからだったそうです。翔太は結局それで命を落としてしまいました


一方、翔太の父の聡は新聞記者をしており、たまたまこの日中に、翔太が死んだ現場で起きた「抗議デモ」の取材をしていました。道路の拡幅工事でせっかく育った街路樹が伐採されると聞いた主婦たちがこぞって反対運動をしていたのです。


聡はそんなおばちゃんの暇つぶしみたいなネタではなく、もっとスリリングな取材がしたいとぶーたれていました。だから、取材も適当に話を聞いて写真を撮ったらそれでおしまいです


またここには市からの委託を受けた樹木医も来ていました。ですから本来ならば「根腐れを起こしている樹木」はここで発見されて然るべきでした。すぐに対処できなくても、少なくても近くを通らないよう注意を喚起することができたはずです


造園会社の社長=石橋忠行(鶴見辰吾)は普通に仕事をこなしましたが、従業員の足達道洋(萩原聖人)は極度の潔癖症らしく、素手で物に触れることができません


手袋さえすれば樹木の診断や注射はすることができたものの、どうしても彼が件の樹木に触れられなかった理由がありました。その街路樹のある道を散歩のルートにしていた老人=三隅幸造(田山涼成)が、腰痛を理由に犬の糞を片付けていかなかったことです。毎日のことなので糞はかなり溜まっていて、近所から役所に何度も電話が入っていたそうです


その電話を受けたのは道路管理課の小林麟太郎(芹澤興人)という職員です。小林は渋々片づけに出向きましたが、近くを通った小学生に馬鹿にされたことで腹を立て、職務を放棄してしまいました。これって公務員試験を受けてまでやることか?


またデモ隊の女性たちも樹木医の仕事を妨害します。伐採予定の木を世話するはずがない、市役所の回し者だろうと責めたてました。実際小林とその上司の上村育夫(光石研)もこの点に言及しています。どのみち伐採する樹木の診断・ケアほど無駄なものはない、と


突然の息子の死に衝撃を受けた聡は、何とかして息子を殺した張本人を見つけ出そうとしました。これは強風による天災などではない、明らかな人災だ!!息子を殺した犯人を探せ!( `ー´)ノ


が、警察はまったく当てにならなかったため、聡は自分で当時の事情を調べ始めます。最初は市役所と造園業者、そして(医者とは呼びたくないけど)医者に会ってその責任を追及しようとしましたが、造園業者以外は皆、誰も自分の責任を認めようとしません


市役所の小林は、犬の糞を放置した飼い主が悪いと言い、医者の久米川は、大した風邪でもないのにすぐに見てもらえるからという理由で夜間診療にくる大学生が悪いのだとのたまいました。唯一、造園業者の足立だけは自分のせいだと謝罪しますが、それもまた病気とあっては責めることもままなりません。本来、そのような場所に糞が放置されている方がおかしいのです。


それに聡は接触しませんでしたが、街路樹の伐採を止めようと署名運動をする暇があったら、その根元に犬の糞が溜まっていることぐらい気づいても良さそうです。あれほど大騒ぎするエネルギーがあるのなら、ボランティアで掃除ぐらいできませんか


彼女たちは実際、自分達が樹木医の邪魔をしたことには後で気づき、だんまりを決め込んでいました。つまり、多少は自分達にも責任があったかもしれないとの自覚はあったということです。どこまで自省するか期待はできませんが、少なくとも、次の行動には多少なりともブレーキがかかると願いたいです。


もちろん役所の怠慢は言うまでもありません


何度も同じ通報があったのなら、散歩の時刻を確認して監視ぐらいしたらどうです?難しい公務員試験を突破する頭があったらそれぐらいのことは考えんか何のためにその頭がついとるんじゃ、このボケなすめ!( `ー´)ノ!!


まあ糞に関して最もひどいのは犬の飼い主ですが


この飼い主の三隅は何も知らず、事故があったとニュースで知って、いつも行く散歩コースだから事故に遭わずにラッキーだったと語っていました。コイツが一番罪深い、と腹が立っても、犬の糞を放置したというだけで殺人罪を問うことはできません


結局、聡は犯人を突き止めることができませんでした。そればかりか、母の路子は、光恵を食事に誘った自分が悪いと言い出し、父の彰は、自分が倒れて入院などしたからだ、と息子に謝罪します。そして聡もまた、義父の介護を心配していた光恵に、大丈夫、なんとかなるから、と言うだけで、具体的には何もしなかった自分を責めるしかありません


またドラマでも、加山夫婦に「彼ら」を責める資格があるのかと問うてきます。聡と光恵は昔翔太を連れて海岸へ遊びに出かけたことがあるそうです。その時光恵は「家庭ごみ」を持ってきて海岸のゴミ箱に捨てました。そこにはハッキリと「家庭ごみは捨てるな」と明記してあったのにもかかわらず、聡は言われるままに家庭ごみを捨ててきます。


だって、俺だけじゃないから。みんなやってることだから


翔太が死んで49日が過ぎ、近所の女性(竹内都子)からも優しい励ましを受けて少しずつ立ち直った聡と光恵は、亡くなった翔太の分も楽しく強く生きていこうと決意します。ふたりは思い出の海岸に出かけますが、またしても聡は「家庭ごみ」をそのゴミ箱に捨てました


「因果応報」を厳しく解釈すればこそのラストシーンでしょうか


無意識に犯してしまう「小さな罪」が最終的に人一人の命を奪いかねないのだという警告がドラマのそこかしこにあふれていました。誰もが「罪」を犯す時は、それがどんなに小さなものであっても多少の罪悪感を抱くものですが、多くの場合はそれを無視してしまいがちです。時には勇気を出して立ち止まり、番組内で使われていた「想像力の射程距離」を長くして自分自身に問いたいものです


この行為が誰かに災いをもたらすかもしれない。その「誰か」が自分の愛する人かもしれない。


と、ドラマの主旨としては翔太の死には皆少しずつ責任があるということなのでしょうが、でもやっぱりおばさん個人としては医師の責任をもっと厳しく問いたかった


いくら内科医だからとはいえ、そして患者がたくさんいたからとはいえ、久米川自身も語っていたように「たかが風邪」の患者なら少しぐらい放っておいても死にやしません。久米川は夜間に押しかけてくる大学生を批判していたけれど、そうした大したことのない患者だから責任を問われずに済むからこそ、安心して夜間のバイトをしているのではありませんか


看護師の羽鳥が指摘したように、内科医に処置できないなら、外科の医師を呼ぶべきではなかったでしょうか。目の前に助けを求めている患者がいるのに目もくれないで逃げようとする人間を医者と呼べるでしょうか?その程度のモラルの持ち主が、人の命を救う仕事に就いて良いものなのでしょうか偏差値だけの頭でっかちに命を預けられない。こんな人間を当直にする病院側の責任も大きいです。


医師や教師だけにそうした高いモラルを求めるのは酷だという意見も当然あることでしょうが、やはり人の将来や命を預かる仕事は「聖職」であり、そのような仕事に就く人間は高い知性とモラルを持つべきだと個人的には考えます。そしてそれに見合う報酬や待遇を受けるべき


大体、医師不足が叫ばれて久しいのに、国や行政は何をやっているのでしょうか


お、最近は医者に対する不信感が甚だしいので、こうした話題になるとついつい熱くなってしまいます


でもドラマとしてはなかなか見ごたえのある作品でした。これはもう一度小説で読むのも悪くなさそうです



乱反射 (朝日文庫)

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コメント 3件

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通りがかりの内科救急医  
脳外科医不在の病院があの患者の搬送を受けることは罪です

内科医が頭部外傷の小児にできる処置はありません。一般外科医でも無理です。脳外科医のいる三次救急病院で速やかに搬送するしかこの子の助かる可能性はありませんでした。外科医師を呼び出して連絡ついても何時間もかかるし、脳外科でなければ手も足も出ません。
あのドラマはマスゴミお得意の医療バッシングも交えて面白おかしく脚本を書いていますが、ああいう病院、当直医はあり得ません。
脳外科医がいるかどうか、搬送後、脳外科による緊急オペが可能かどうか、だけ返事して、数秒で無理、と断ります。それが親切だし医者としての良心です。
しばらく待たせてから返事することもあり得ません。受け入れ可能、不可能、即答です。
脳外科医常駐の病院なら救急担当医が脳外科医に電話して聞く、対応可能かどうか、せいぜい2~3分です。
『専門外の患者を受け入れて不幸な結果になったら受け入れた病院が悪い』という判例もあります。
あなたのように誤解する人が大勢出るようにミスリードするひどい脚本でした。

2018/09/30 (Sun) 14:05 | 編集 | 返信 |   
こん
通りがかりの内科救急医さんへ  
誤解はしておりません(笑

こんにちは。貴重なご意見をありがとうございます。

確かにおっしゃる通りだと思います。
私も、実際問題として内科医にあのような外科的処置ができるとは思っていません。

ただですね~あの断り方(言い方)はないでしょう。

仮にも夜間診療をして救急病院に指定されているのであれば、
ご指摘通り「脳外科医のいる三次救急病院へ速やかに搬送」
できるよう協力しても良かったのではないでしょうか。
それがまったくできないアルバイト医を置いとく病院も病院ですよね。

確かにとどのつまりは作品自体の設定に問題があるかもしれませんね(爆。

でもこれは「フィクション」だということはわきまえております。
ブログのトップページでも標ぼうしているように
~感想はあくまでも「ドラマ=フィクション」に対する感想です~
その辺の誤解はまったくしていないつもりでござりまする(笑。


(続く)

2018/09/30 (Sun) 16:15 | 編集 | 返信 |   
こん
通りがかりの内科救急医さんへ  
続きです

ただここ数年実際にひどいドクハラ(内科医です)に苦しめられてきて
先日その被害を受け続けた母を亡くしたばかりだったため、
ついついテンションが上がってしまいました(汗。
江戸の仇を長崎で討ってしまった訳です(苦笑。

その母の介護でここ2年ほどは満足にブログを更新できなかったため、
最近は検索でお出でになる方はほとんどいらっしゃらなかったこともあり、
リピーターさんはその辺の事情を皆ご存じなので大丈夫かと
ついつい油断いたしておりましたm(__)m。

こちらこそ誤解をさせてしまって申し訳ありませんでした(^_-)-☆。こん

2018/09/30 (Sun) 16:16 | 編集 | 返信 |   

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