レ・ミゼラブル あらすじと感想 第1話 黄色いパスポート
BBC制作の【レ・ミゼラブル】(Les Miserables)を視聴しました。
ヴィクトル・ユゴーのあまりにも有名な物語で、おばさんも幼い頃繰り返し読んだものですが、映像として見るのはこれが初めてです。得てしてそうした作品の映像化は時にひどく前衛的な演出がなされたりして、イメージ通りとはいかないことが多かったりするものですが、これはまずまずオーソドックスで安心しました
。
以下ネタバレのあらすじです。この作品への思い入れの深さから、ドラマにはなかったことも少し付け加えさせていただいております
。でも先のネタバレはしていません
。
ナポレオン・ボナパルト率いるフランス軍が、イギリス・オランダの連合軍に敗れたワーテルローの戦場で、テナルディエ(Adeel Akhtar)という男が辺り一面に横たわる遺体から金目の物をあさっていました。
すると、そのうちの一人がパッチリ目を開けます。彼はポンメルシー大佐(Henry Lloyd-Hughes)と名乗り、テナルディエのおかげで命拾いしたと感謝しました。
何でも持っていくがいいと言ったものの、既に金目のものは他の誰かに持ち去られていたため、ポンメルシー大佐は、生還できたらいつでも訪ねてきてくれと伝えます。ちなみにティナルディエは自分を軍曹と名乗っています。
その言葉通り無事生還したポンメルシー大佐あらため男爵は、早速息子のマリウス(Raphael J. Bishop)に会いに行きました。が、ポンメルシーの妻亡き後マリウスを預かっていた義父のジルノルマン(David Bradley)は激しくポンメルシーを罵ります。ジルノルマンはルイ18世を支持していたのですね
。
しかもジルノルマンは、マリウスにも「ポンメルシー」を忌み嫌うよう育てると豪語しました。
が、その様子を見ていたメイドのニコレット(Emma Fielding)はポンメルシーを哀れに思い、こっそり後を追いかけてきます。日曜にはマリウスを教会に連れて行くから、サン・シュルピスの教会へいけば会えると教えてくれました。
一方、パリでお針子をしていたファンティーヌ(Lily Collins)は、トゥールーズから出てきた学生のフィーリックス・トロミエス(Johnny Flynn)と恋に落ちました。1年後には娘=コゼットも生まれたようです。
お針子の先輩のフェイヴァリット(Charlotte Dylan)からは、フィーリックス達のように勉学のためにパリに来た学生たちは皆、学業を終えたら故郷に帰ってしまうから、決して本気になってはいけないと、あれほど注意されていたのにね。
フィーリックスは暗に別れを仄めかしていますが、ファンティーヌは気づきません。
また物語の主人公、ジャン・ヴァルジャン(Dominic West)は、19年前に家族のためにパンを1つ盗んで捕まりました。トゥーロンの徒刑場(刑務所)に送られてから、実に4度も脱走を図ったために、19年間の刑務所暮らしを余儀なくされます。
ヴァルジャンは、石切りの作業場で、見張りの男が弱い者いじめをしているのを見て我慢できなくなり、わざと落石を起こしました。が、その男が崩落の下敷きになってしまったのを見ると放っておけず、自らの体をテコにして男を救い出します。これが「ジャッキのジャン」(Jean-Le-Cric)と呼ばれるゆえんですね。
看守のジャベール(David Oyelowo)はそんなヴァルジャンをせせら笑いました。あと1年の刑期を終えて出所してもまたすぐに戻ってくる。その時は終身刑だ!
その1年後、無事刑期を終えたヴァルジャンは刑務所内で稼いだ109フランと、元囚人に渡される「黄色いパスポート」を持って出所しました。
が、どこへ行ってもそのパスポートを見せるたびに忌み嫌われてしまいます。ある時は、ジャッキのジャンの力を生かして重い荷物を運ぶのを手伝いましたが、賃金は元囚人と言う理由から割引されてしまいました。
宿に泊まろうとしてもことごとく追い出されたヴァルジャンが道端のベンチに寝ていると、ひとりの老婦人が近づいてきてミリエル司教(Derek Jacobi)の家を教えてくれます。司教はヴァルジャンを大いに歓迎し、食事とワインをふるまいました。寝るところがないなら泊まっていくがいいとベッドも整えてくれます
。
ヴァルジャンは、俺は人殺しかもしれないぞと(わざと)脅しますが、司教はそれを考えるのは神の仕事だと微笑みました。
人は愛と優しさで変わるものじゃないかね?
その司教のベッドの横には銀の食器がしまってありました。それを横目で見たヴァルジャンは夜中に密かに忍び込み??
ミリエル司教の優しさが心に染みわたりますね。
ドラマとは直接関係はないのですが、昨今の新型コロナの蔓延を受けて、ローマ法王が聖職者たちに患者たちを励ましに外へ出ていくよう呼びかけたそうです。
われわれの司祭らが外へ出て病める者に会いに行き、医療従事者やボランティアらの任務に付き添う勇気を持つよう、主と司祭らのために祈りましょう(ローマ教皇、聖職者らに外出して新型コロナ患者と会うよう呼び掛け)
それがまた感染を広げてしまうとの声も聞こえてきそうですが、それ以前に病人や弱者~哀れな人々(Les miserables)に寄り添おうとする気持ちが尊いですよね
。イタリアでも、遠く離れたマンションの部屋から顔を出し合って、同時に体操をしたり、互いに励ましたりているそうです。やみくもに「隔離」するだけでは、まず心が病に負けてしまいます
。
19年間、愛のない地獄のような徒刑場で暮らした結果、憎しみの塊になってしまったヴァルジャンの心を、ミリエル司教がどう溶かしたのか~来週の放送が楽しみですね
。
これまでに視聴した欧米ドラマの視聴リストはこちらです
: 視聴ドラマ一覧~欧米ドラマ編