大地の子 あらすじと感想 第5話 長城
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山﨑豊子さん原作、上川隆也さん主演の日中共同制作ドラマ、【大地の子】の5話は「(万里の)長城」です。以下ネタバレのあらすじです🌿。
矛盾
一心は元技師長に苦しい胸の内を打ち明けました。確かに日本はかつて中国を侵略して罪のない民衆を虐殺したが、戦争のために中国に置き去りにされた孤児もまた日本の軍国主義の犠牲者ではないかと憤ります。小さい頃から「鬼の日本人」と蔑まれ、身の置き所のない思いで生きてきた上、日本のスパイと疑われて労改へ送られて5年半も過ごした。自分のような孤児や難民は日本に捨てられた人間なのに、なぜ日本の軍国主義の罪を償わねばならないのか。生まれは日本でも中国で育ち、中国人と変わりなく暮らしてきたのに、なぜ認めてもらえないのか。
帰国華僑だった囚人から「母国語を知らないのは恥だ」と言われて日本語を習う決心をし、今日まで勉強を続けてきたが、今になってその日本語が認められても嬉しくない。これからどうなるのかむしろ不安でたまらない。それに今は家族もいる。あの二人が巻き添えになるのではないかと思うと八つ裂きにされる心地がする。
文革の終焉
それからしばらくして周恩来、引き続いて毛沢東がこの世を去りました。その1年後、ようやく文革が集結宣言されます。そしてその年の秋には中国金属学会考察団が日本へ向かいました。その団長は重工業部次官の趙大烈〜彼は一心の元恋人=丹青の父です。一心が重工業部へ移って3年が経過しており、職場も外事司から計画司に変わりました。計画司の楊祐民が一心を気に入ったそうです👍。
近代化へ向けて
日本に到着した大烈は、東方商事社長の紅谷擁(山下輝彦)の案内で、今や東洋製鉄の会長となった稲村に会いに行きました。稲村は経団連の会長も兼ねており、日本の経済界の最高実力者なのだそうです。副団長で「鉄の女」こと冷珠も同行しました。冷珠は、稲村は全面的に協力すると語っていたが、その裏では、日本における鋼材の需要が減ったことから中国市場を狙っているに違いないと分析します。
二人をはじめとする考察団は翌日、木更津工場を見学に行きました。工場長(角野卓造😻)の案内で目にした巨大な転炉には皆驚きを隠せません😨。実際、四川省にできた製鉄所では、その半分の転炉でも支えが折れてしまったのだそうです。そんなことも手伝い、大烈は早速、この最新式高炉を入手したいと持ちかけてきます。これには、さすがの稲村も、そして社長の斎木吾郎(児玉清〜徳川家康@黄金の日日)も難色を示しました💦。
が、考察団は帰国するとすぐに「臨海大型製鉄所」の建設計画に着手しました。国務院がこれを認めると即、一心たちは候補地を探す船旅に駆り出されます。船旅と言ってもそれは軍艦で100人もの中央行政機関の人間が参加したかなり大掛かりな査察で、たっぷり2週間かかったそうです。
が、それで候補地は決まったらしく、四川で開かれた日中の会議では、張大振代表が稲村に、木更津工場と同じ規模の高炉を2年で作りたいと要望しました。稲村が返答に困っていると、張代表は、自分の指揮で30万人を動員できると豪語します。稲村から意見を求められた斉木は、そこまで急ぐとなると機材のほとんどを日本から購入せざるを得ないから莫大な建設費がかかると憂えました。張代表は、国際相場より2〜3割安くしてくれれば一括現金払いをすると約束します。中国としては、この2年で近代化のビジョンを全国民に示したいと考えているのだそうです。
青天の霹靂
徳志
候補地探しを終えた一心は、3週間ぶりに重工業部の宿舎に帰宅しました。月梅には温かそうなセーターを、燕燕にはキャンディを買って帰ります💜。
時を同じくして、范家屯の徳志の元に「吉林省の公安庁」から手紙が届きました。徳志が早速出かけていくと「肉親探し」について聞かされます。実際には、以前狭間が語っていたように、日中国交回復後すぐに紅十字会を中心にした活動が行われていたそうですが、徳志は寝耳に水でした😨。担当者は、当時7歳だった一心が何も覚えていないのはおかしい、徳志たちに遠慮をしているのではないかと疑います。徳志は、私たちの間で決してそんなことはない😠、と反論しましたが、聞いたからには黙っているわけにも行きません。そこで徳志は、久しぶりに孫の顔が見たくなったと手紙を書いて、一心を訪ねることにしました。
一心は、春節を前にわざわざやってきたのには何か訳があるに違いないと察しますが、徳志は、一緒に万里の長城に登ろうと言うだけで後は何も言いません。
徳志は長城を歩きながら、王遵の「長城」という詩を読みます。「秦、長城を築いて鉄牢に比す。蛮戎 敢えて臨洮を過ぎず〜秦の始皇帝は鉄牢のような長城を築いたけれど、結局秦は滅びてしまった。国を守るのに必要なのは堅固な城ではなく「徳」だという教えだそうです🍀。
そこへ偶然、柿谷をはじめとする東洋製鉄の一行がやってきました。柿田はすっかり一心を信頼し、気に入っていたようで、一心も笑顔で挨拶します💖。近い将来また会うことになると思うけど、その時はよろしくね。柿田の一行には耕次もいて、仲間の一人に「あの日本語の上手な青年」は誰かと尋ねていました。その隣にいるのは父親か、と聞かれたその男性は「ちょっと事情があるけれど、そうだ」と答えます💦。
耕次
狭間から耕次に連絡が入りました。大沢咲子が生きていて、中国人の嫁になっていたというのです🌹。昔から、勝男やあつ子の面倒を見てくれていた咲子が生きていたと聞いた耕次は、亡くなった家族が教えてくれたに違いないと感激しました😿。
感想
一心が、置き去りにされた自分たちも被害者だと嘆くのももっともです。当時は子どもだったわけですし、だからと言って「開拓民になれば裕福になれる」と信じてやってきた耕平たちに罪があるのかと言えば、そこまで言うのは酷というものでしょう。でも、少なくともそうした過去を歴史に持つ我々は、決して「政府が言うから間違いない」と鵜呑みにしてはいけないのですよね。何事も自分の頭で考えてから結論を出すことを怠ってはいけませんね。