いだてん あらすじと感想 第36話 前畑がんばれ
宮藤官九郎氏脚本のNHK大河ドラマ、【いだてん~東京オリムピック噺~】の36話は「前畑がんばれ」です。
ロスアンゼルスオリンピックとベルリンオリンピック、金メダルの数だけでいうと前者が7つで後者が6つと大差はありませんが、水泳競技はかなり不振だったようですね。その分、前畑にプレッシャーがかかったのはドラマを見ての通りです
。
ロスでは5種目獲得した金メダルが、ベルリンでは3つしか取れなかった日本水泳陣は最後の望みを前畑に託しました。それは日本にいる視聴者も同様で、前畑のもとには日本から山のような電報が届いたそうです。
その中には金栗四三からの電報もあったそうですが、残念ながら前畑は四三を知りませんでした。しかも「緊張したら押し花が良い」だけでは通じませんね
。
一方の田畑は、そんな前畑にヒジョーに気を使っていました。「ガンバレ」と言ってはいけないと事あるごとに皆を注意しますが、結局は自分もそれしか言えなくなったというのが可笑しかったですね~。
日常生活でも「ガンバレ」という言葉は良くないという方がいらっしゃるけど、そう嫌ったものでもありませんよね。ガンバレという言葉には優しさや思いやり
が込められている場合も多いのですから
。最近は特に受け取る側がナーバスになりすぎではないでしょうか
。
前畑も、夢に出てきた両親に、頑張れの他には何かないのか、などと絡んでいました
。
それで母は、秀子(前畑)が生まれたことが人生で一番良かったことだと伝えます。秀子は母ちゃんの金メダルよ。
これで前畑はようやく素直になることができます。きょうだいの中でひとりだけ女学校に入れてもらってありがとう。好きな水泳を続けさせてくれてありがとう。
そう感謝した前畑の耳には「ガンバレ」がすんなり入ってきました。秀子だけやない。日本人みんなで泳ぐんや
。
翌日前畑はお守りを食べてレースに臨んだそうです。
一方、ロスでは実況中継ができず、次のベルリンこそはと意気込んでいた河西三省は直前に風邪をひいてしまい、実況はできないと言い出しました。田畑はそんな河西を思い切り怒鳴りつけます
。
あんた必ず実況するって約束したろう?前畑は4年間のすべてを明日に懸けようとしているんだ!そんな大事な時に、風邪なんか引いてんじゃねえっ!馬鹿野郎めっ!!
レースが始まってすぐには「実況」もしていたのですが、終盤にはもう「ガンバレ!」しか言えなくなります。それは日本にいてラジオを聞いていた日本人も同じでした。だってそれこそ命がけで頑張っている選手に対し、それ以外に何が言える??
こうして前畑は見事、金メダルを獲得しました。優勝したのは間違いなく前畑自身の力ですが、たくさんの声援と応援の気持ちも彼女の一掻きの一助になったかもしれませんね
。
こうした感動がある一方で、ナチスの残虐さも露になります。通訳でユダヤ人のヤーコプは、オリンピックが終わるとすぐ自殺してしまったそうです。つまり、生きていたら死ぬより辛い現実が待っていたということでしょう
。
また前畑に負けたドイツ人のマルタ・ゲネンゲルが、前畑を心から称えていたのに対し、そのゲネンゲルをヒトラーが冷たい目で見ていたのも空恐ろしく感じられました。
絶対勝てと言われて負けた彼女は果たして無事だったのだろうか~思わずwikiで確認しました。彼女はオリンピックの後コーチとなり、1977年に前畑と感動の再会を果たしたそうです
。ほ~よかった
。
次はいよいよ東京オリンピック~という段になり、今度は治五郎がすさまじいプレッシャーに押しつぶされそうになっていました。彼本来の豪放磊落な姿はすっかり影を潜めます
。オリンピック委員会には陸軍幹部も参加していました
。
オリンピックは国民的大事業だ。日本の文化や精神を世界中の人たちに理解してもらう!!
かつてムッソリーニと交渉した副島は、このままではベルリンオリンピックの二の舞になる、純粋にスポーツを楽しむ祭典ではなくなってしまう、と危惧していました。河野一郎は国会でオリンピック反対論を提言すると息巻いています。
そしてついに日中戦争が始まりました。到底オリンピックどころの話ではありませんね
。
実際、この東京オリンピックは開催されなかった訳ですが、ナチスが牛耳るベルリンオリンピックでさえ、なんとかその意義を感じよう、楽しもうとしていた田畑は、この時、どう動いたのでしょうか。そして治五郎はどこでどう決断したのでしょうか?
来週の放送がますます楽しみですね。
これまでに視聴した日本のドラマの視聴リストはこちらです: 視聴ドラマ一覧~日本ドラマ編