少年寅次郎スペシャル 後編 ネタバレと感想 また逢う日まで
山田洋二監督原作、岡田惠和氏脚本の【少年寅次郎スペシャル】の後編を視聴しました。も~さくらが健気で泣けちゃいましたね
。また平造の最期にも泣かされました
。以下早速ネタバレです
。
帰郷
お寺で
寅次郎が柴又に帰ってきました。早速御前様に挨拶に行こうとしますが、境内で遊んでいた男の子をお母さんが叱っているところに出くわします
。
母: 遊んでばっかりいると、くるまやの寅ちゃんみたいに家にいられない、ろくでなしな子になっちまうよ。
子: えっ、やだ!それだけは絶対、嫌!
寅次郎がショックを受けていると、御前様がキッパリ否定してくれました
。
それは違う。確かに寅次郎は困った奴だけれど、ろくでなしではない。そんなふうに子供を脅すのに使うのはおやめなさい。ただ、勉強する気はまるでなかった
。そこは見習ってはいけない
。
くるまやで
寅次郎が複雑な面持ちで実家にやってくると、皆はちょうどお墓参りに行くところでした。出て行って一緒に行けばよいものを、思わず物陰に隠れてしまいます。でも、つねが鍵をかけ忘れて戻ってくるとつい、「しっかりしろよ、おばちゃん」と声をかけずにいられません
。またつねが空耳かと思っちまって
。
寅次郎は皆がいなくなったのを見計らって、裏口へ回ると、そこの戸は開けっぱなしでした。まったく不用心だね、とぶつくさ言いながら中に入った寅は、平造の姿を捜し、いるわけねえか、と独り言ちます。どうせ昼間っから遊び歩いてんだろ
。
そう言って、ああそうそう仏壇の光子に挨拶に行こうとりんごを持っていくと、そこに平造の写真も飾ってありました。え?父ちゃん、死んだのか??
いつも寅次郎を苛めていた平造でしたが、さくらにとっては大切な父親です。寅次郎が感慨に浸っていると、皆がお墓から帰ってきました。寅次郎は慌てて物置部屋に隠れます。
思い出
物置部屋
昔虎次郎に「千代ちゃん」という友達がいました。千代は額が広かったため、寅次郎は「でこっぱち」とか「らっきょう」とか言ってからかったそうです。ついでにさくらを「ちびらっきょ」、光子を「でからっきょ」とも言っていたそうです。
ある時千代が泣いていたので、さくらは「お兄ちゃんのそう言うところが嫌い」と千代を慰めようとしました。ところが千代は、苛めたのは寅次郎ではない、と語り始めます。千代をそう呼ぶのは他にもいたそうで、彼らが千代をらっきょうやでこっぱち呼ばわりしているのを見た虎次郎は、彼らに食って掛かったのだそうです
。
どけどけどけ~!おいいいか!今日から千代にでこっぱちだ、らっきょだって言っていいのは俺だけだ。言いたかったら、俺に喧嘩で勝ってからにしろ!
寅次郎は見事に彼らをやっつけました。千代には「誰か大切な人を守る時が人間は一番強くなる
」と光子から教わったと語ったそうです
。
そういう時はいつもより強くなるんだ。負けないんだ、絶対。分かる?お母ちゃんはあんたやさくらを守るためだったら誰にも負けないよ。
それで寅次郎は「おいらもかい?」と聞いたのだそう。何言ってんだ、当たり前だろ、光子がそう答えたので、寅次郎は心に固く誓ったのです。
うん!おいらも母ちゃんとさくらを守るためだったら誰にも負けないよ。
光子はそこで、寅次郎は力の強い男の子だから、弱っている人や泣いている人を守ってやらなきゃならないと教えたそうです。寅は、分かった、任しとけ!と胸を叩きました
。
その後もまたそのいじめっ子がやってきて寅次郎に喧嘩を仕掛けたそうなのです。寅次郎は千代に帰っていろと命じたらしく、それで千代は心配になって泣いていたらしい。それを聞いたさくらは、大きくなったら寅次郎の嫁になると言い出しました
。平造は、甲斐性がねえから止めておいた方がイイと茶々を入れます
。あんたにだけは言われたかないですが
。
その夜光子は寅次郎の大好物のがんもどきを煮ました。それでも寅次郎は戻ってきません。すると平造ががんもどきの匂いをまき散らしました
。へへ、ネズミ捕りってわけだ
。
寅次郎はたまらず物置部屋から出てきたそうです。匂いもそうですが、トイレも我慢していたらしい。隠れていたのは、喧嘩に負けちまったから
。
お母ちゃんも寅ちゃんと結婚したいくらいだよ。
千代を守るために奮闘努力した寅次郎に光子がそう言うと、寅次郎は嬉しそうに笑いました。参ったなあ、選べねえなあ。モテモテだな、おいら。ヘヘヘヘ。
がんもどき
その時のことを思い出したさくらは、がんもどきを持って家の中を歩き回りました。寅次郎は物置部屋で鼻をクンクンさせながらも、出ていくことができません
。
そこへタコがやってきました。タコは、がんもは寅次郎の好物なのに、なぜ光子の月命日に必ずがんもを作るのかと尋ねます
。さくらは、
がんもを作る光子が一番幸せそうな顔をしていた
からだと答えました。さくらは、光子があまりにも寅次郎に優しいのでやきもちを焼いたことがあるほどなのだそうです
。
ひとめ惚れ
かつてつねと竜造は、ふたりで寅次郎を引き取ろうとしたことがあったのだそうです。寅次郎は光子の子ではなく、平造が外で作った子どもだからです。それにつねはどうしても子どもが欲しかったのにできなかったから。
光子はふたりに感謝しながらも、キッパリ断ったのだそう。嫌だ。あの子はやらない。私が育てる。
光子はその理由を、女の意地でも平造の血が流れているからでもなく、単純に寅次郎のことが好きになったからだと答えたのだそうです。ああ、この子好きだなあ、一緒にいたいなあって、そう思っちまうんだよ。どうやら私、一目ぼれしちまったみたいだ。
平造の秘密
その話を聞いたさくらは、自分にも「誰にも話していない話」があると言い出しました。それが何と平造の話です。ずっと寝たきりだった平造は亡くなる1ヶ月くらい前の天気の良い日に、さくらに起こしてくれと頼んだそうです
。平造は、幼い頃に旅芸人に憧れたことがあったのだと打ち明けました
。旅から旅への暮らしってのか?
今日柴又で芝居したかと思ったら旅に出て、次の日には北の方の町や村で芝居してよ。田舎町の娘やおかみにモテて祝儀なんてもらっちゃったりしてよ。ちょっと寒くなってきたからあったかい方にでも行ってみるか、なんてそんな暮らしに憧れてな。憧れて憧れてもうどうしようもねえんだ。
まるで今の寅次郎の生活ですよね。
それで平造は、一度家出をしたことがあったのだそうです。でもすぐに正吉に見つかって連れ戻されてしまったらしい。正吉は泣きながら平造を殴ったそうです。平造も泣きました。
別に家が嫌だとかそういうことじゃねえんだよ。抑えらんねえんだな、行きてえ気持ちがよ。あん時行ってたらどうなってたんだろうなって時々思うわ。
そして平造は、こんなことが言えた義理ではないが、と言いながら本音を漏らしたそうです。
寅次郎は、あいつは、俺の、俺のよ、俺の夢を、あいつは、あの野郎は代わりにかなえやがった。
竜造は、そうした気持ちは分からないが、何かあったらいつでも帰ってくればいいと思うと語ります。帰れる家があるのとないのじゃ、全然違うと思うんだ。それは生きてく力になるんじゃねえかと思うからさ。
寅次郎の手紙
寅次郎は以前手紙を寄こし、くれぐれもさくらを頼むと書いてきたそうです。さくらはシッカリ者で何でもできるけれど、それは寅次郎みたいな兄貴がいたから、シッカリしなくちゃと思ってそうなっただけで、本当は臆病で弱虫で泣き虫で、駄目なところもたくさんあるんだ、と語っていたそうです。
あいつにもし辛いことがあったら俺には分かるから飛んで帰ってくる。駄目な兄貴だけど、必ず妹を幸せにしてやれるような男になって戻ってくるからそれまでさくらを頼みます。
涙の別れ
さくらは仏壇のりんごを見つけると、ハッとして物置部屋へ駆けつけました。お兄ちゃんの匂いだ!いたんだ!!
さくらは家を飛び出して寅次郎の後を追います。お兄ちゃん!お兄ちゃん!!
寅次郎は慌てて隠れました。さくらは何度も何度もお兄ちゃん!と呼びましたが、寅次郎は出て行きません。
ちゃんとおなかあっためて寝るんだよ。私は元気だよ。弱虫も泣き虫も直すからね。だからまたいつか帰ってきてね。
泣きながらそう語る妹をこちらも涙で見送る寅次郎なのです。
エピローグ
寅次郎が長野で的屋をしていると、2番目の初恋の夏子に遭遇しました。演奏旅行に来た夏子は、さくらから、もし寅次郎に会ったらああもこうも伝えてほしいと言われていたので、それを伝えたい、と目を輝かせます
。寅次郎は、調子よく、これ全部売っちゃうまで待っててな、と答えました
。
ええい、こうなりゃ、やけだ!やけのやんぱち、日焼けのなすび。
感想
光子はもちろんですが、平造も、相変わらずイイ味出していましたよね。今回も改めて、平造が寅次郎を「苛めて」いたのは、やはり、光子に対する負い目があったのだと確信させられました。それが無ければ、自分にそっくりの息子をどれほど可愛がったことか
。
またいつか、この温かい一家に出会いたいものです。その日を心待ちにいたしております。
これまでに視聴した日本のドラマの視聴リストはこちらです
: 視聴ドラマ一覧~日本ドラマ編
こんにちは。
実は男はつらいよシリーズはどれも通しでしっかりと見たことがなかったので、「寅さん」には詳しくないのですが、「寅ちゃん」と彼を取り巻く人々のあたたかさにじーんと来て、すっかりはまってしまいました。
後編では千代ちゃんのエピソード(光子さんの教え含む)にうるっときましたよ。
私も同じく、またこの一家に出会いたいです~。