ディア・ペイシェント 最終回 あらすじと感想 私の願い
南杏子さん原作の医療ドラマ、【ディア・ペイシェント】もついに夕べが最終回でした。あ~これはまたとっても感動的な結末でしたね
。以下早速ネタバレです
。
嫌がらせの真相
座間の暴走
あれ以来座間は診察に来なくなりました。いったいどうしているのだろう~そう心配していた矢先、座間がロビーで騒いでいるとの連絡を受けた千晶は早速駆け付けます
。そこで座間は、千晶が自宅に不法侵入をした、と訴えていました
。
ここはヤブ医者ぞろいの最低病院ですよ!
千晶は話なら診察室で聞くと促しましたが、座間はキッパリ断ります。私はここで皆さんの注意喚起をしなければなりませんから!
千晶は座間の目をじっと見つめ、ずっと座間のことが気になっていた、もっと話をするべきだった、と語りかけました。座間は耐えきれないというようにますます暴れ狂い、「上を向いて歩こう
」を歌い出します
。
やっと終わる。
座間は歌い終わるとそう言って病院を出て行きました。
千晶はその後を追い、自分もまたきっかけひとつでモンスターになってしまいそうだったと打ち明けます。医者に対する不満が湧き上がるのを抑えられない、正直なところ、どう患者と向き合ってよいか分からなくなるばかりだ、だからこそ、座間の求めるところを教えてほしいと千晶が訴えていたその時、浅沼知恵子の運転する車が突っ込んできました。どうやらブレーキとアクセルを踏み間違えていたようなのです。座間は迷うことなく千晶を思い切り突き飛ばしました
。
浅沼知恵子
千晶は頭を打ってしばらく気を失っていましたが、特に異常はないそうで、すぐに浅沼の事情聴取に同席しに行きました。途中で会った蓮見には、座間の母親は要介護で、座間がいないと生活に支障が出ると伝えます。蓮見はすぐに警察に通報してくれました。
浅沼はひどく動揺していましたが、千晶のことはすぐに分かり、何が何だか分からなかったのだと訴えます。千晶は浅沼をなだめながら、警察には、浅沼は認知症の傾向があるのだと伝えました。浅沼はでも警察のことより、息子に知らせないでほしいと必死です
。事故を起こしたなどと知られたら、施設に入れられてしまうと怯えました。
お願い先生、助けて。私を一人にしないで
千晶は、もっと早くに運転を辞めさせていたらと後悔しました。そして息子も思いのほかひどく後悔していたようです。
金田の活躍
金田は、本当はもうかなり良くなって歩けるらしいのに、めいっぱい休みを使おうとしているようです。それでも暇は暇らしく、座間のブログを徹底的に調べてみたのだそうです。それで座間が使った千晶のピンボケ写真は、入職した時に美咲が撮ってくれた写真だということが分かりました
。そのうちの失敗作だったらしい
。
千晶が早速美咲に確認を取ると、美咲以外にその写真のデータを持っている人物は沼田だったと判明します。そう、これまで数々の嫌がらせをしてきたのはこの沼田だったのです
。金に困っていた座間を金で操り、千晶を脅させたのもこの沼田の仕業でした
。
沼田の言い分
千晶が問い詰めたところ、沼田は、佐々井記念病院のライバル、大原中央病院の回し者だと白状しました。沼田は以前大原中央病院で、子どもが生まれて物入りなのを理由に、病院の金を30万ほど着服したのだそうです。それを知った上司は、警察には言わないでほしいと泣いて頼む沼田に、佐々井記念病院の患者を大原に呼び込むことができたら不問に付す、と脅したのだとか
。
それで沼田は大原を辞めて佐々井に移ってきたのだそうです。ま~あの事務長がこれを知ったら何というでしょうかね。
沼田は役所の介護福祉課で、母親を施設に預けるのも、生活保護を受けるのも嫌だと断っている座間を見て、月に3万円で仲間に引き込んだのだそうです。これは千晶も心配していましたが、座間自身も糖尿病や腰痛や狭心症を患っていて、その診療代も負担すると唆したらしい。
その後沼田は偽計業務妨害で逮捕されましたが、大原中央病院は一切の関与を否定したそうです。沼田は座間を利用したけど、その沼田もまた大原に利用されていたのです
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座間の本心
千晶を庇って車に轢かれた座間は重傷を負いましたが命に別状はありませんでした。蓮見の手配で座間の母親は一時保護として施設に入所したそうです
。
千晶は、座間が意識を取り戻したと聞き、急いで病室を訪ねました。座間はひたすら頭を下げて千晶に詫びようとしますが、千晶は逆に、座間が助けてくれたからこうして無事だったのだと感謝します。ブログは実際沼田が書いていたようです。
座間は、千晶の怯える姿を見て介護のストレスを発散した時もあったのだから共犯だと謝罪しました。
沼田に声を掛けられた頃は幸子の飲み込みが弱くなり、食が細くなっていたために、好物の刺身なら食べられるかもしれないと思ったけれど、刺身を買う余裕はなかったそうです。それで役所に相談に行ったのに、役所では、母を施設に預けて働くか、生活保護を受けるかの二者択一を迫られたのだそうです。
沼田に唆されて嫌がらせを始めたものの、先日千晶から「ひとりで抱え込むな、辛い時に助け合うのは当たり前だ」と言われて本当に恥ずかしくなったそうです。それで座間は沼田にこれ以上はできないと断りに行ったのに、辞めたら金は払わないと言われ、いっそ幸子と心中をとも思ったけれどどうしてもできなかったとむせび泣きました
。
千晶は横にあった丸椅子を取り出して座り、幸子について尋ねます。座間さんのお母さんはどんな人ですか?
座間は、昔は働き者で明るい人だったと語りだしました。父親は職を転々としていたので、生活費を稼いで座間を養ってくれたのは幸子だったそうです。その幸子は、一人息子だからと言って介護などしなくていい、自分の始末は自分でつけると語っていながら、夜はひとりでこっそり泣いていたのだそう。
強がっていたけど、本当は施設には行きたくない。家でずっと一緒に暮らしていたい。
幸子のその言葉で座間はそうしたい、そうするべきだ、と思ったそうです。が、幸子の状態がどんどん悪化していくと、生活も心も余裕がなくなり、母を疎んじるようになった自分がますます情けなくなります。
千晶は、母の介護を人任せにしている自分が言うのはおこがましいが、座間は自分の心を守るべきだ、と促しました。幸子はたとえ認知症であっても、心の深いところで座間の気持ちを分かっているはずだ、と伝えます。
今は確かに生きにくい時代だけれど、助けてくれる人は必ずいる。助けをもらいながら介護をしませんか?一緒に歩いていきましょう。患者さんの笑顔で私たちも前が向けるんです
。
座間は泣きながらありがとうございました、と礼を言いました。
家族の支え
千晶は実家で佑子に、一緒にいてあげられなくてごめんね、と伝えます。すると佑子は、千晶のことを考えるだけで体が温かくなるのだと語りだしました。千晶のことを考えると幸せな気持ちになるのだと。千晶は赤ちゃんの頃、ちっとも泣かなかったので、ちゃんと息をしているかよく聞きに行ったのだそうです。小さな寝息が聞こえると、ああよかった、生きていてくれてありがとうとホッとしたのだそう。
また万里も、これまで千晶に甘えていたのは自分の方だと語り、これからは看護大へ行って看護師の勉強を始めると宣言しました。父の徹も、こっちはまだまだ大丈夫だからもっと勉強して来い、と言ってくれます
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人はいつか死ぬ。だから治すための医療以上に幸せになるための医療を誠実に考えてきたつもりだ。誠実であれば気持ちは必ず患者さんに伝わると信じて。千晶も、過酷で理不尽で倒れそうになる事もあるだろうが、誠実に患者を癒やし続ける人でありなさい。
千晶の願い
その父の気持ちを受け継ぎ、千晶もまたこう願っているそうです。
治療の場を争いや対立の場にしたくない。真摯に患者さんと向き合いたい。誠実であり続けたい。病院をいつもあたたかい言葉で満たしたい。この場所が全ての人の癒やしの場でありますように。
千晶の温かい笑顔がそれを如実に物語っていましたね。あ~あのような笑顔の先生なら安心して診ていただける、と心底羨ましく思いました。
感想
母親の介護をしている人間が、あんなにひどい人間のはずはないとずっと信じてきたので、この結末には大満足です。これからはきっと座間も幸子ももう少し楽になれるに違いありませんね。貫地谷さんの「千晶先生」がまた何とも言えず大らかで温かくて心地よかったので、できれば続編も作っていただきたいです
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