ここは今から倫理です。 ネタバレと感想 第1話 人を笑顔にする方法
雨瀬シオリ氏作の学園コミック、【ここは今から倫理です。】をようやく視聴することができました。これはね、期待通り、なかなか考えさせられる作品でしたよ
。おばさんの高校時代にも「倫理社会」という教科があったものだけど、この授業には到底及びませんでしたね~
。寝てたのかな
。
この先の見えない殺伐とした時代だからこそ、改めて「倫理」とは何か、「幸福」とは何か、を考える良いきっかけになりそうです。大人ももちろんですが、やはりたくさんの子どもたちに見てほしいですね~
。以下早速ネタバレです
。
倫理とは?
舞台は高3のとある教室。子どもたちは数ある選択科目の中から「倫理」を選んで集まってきました。担当の高柳(山田裕貴~小畑雪次郎@なつぞら)は、最初の授業で子どもたちにこう言い渡します
。
倫理は学ばなくても将来困ることはほぼない学問だ。地理や歴史のように生活する上で触れることは多くはないし、数学や英語のような実用性もない。この授業で得た知識が役に立つ仕事はほぼない。
この知識がよく役に立つ場面があるとすれば、死が近づいてきた時とか、独りぼっちになった時。信じられるものがなくなった時、死が目前に迫った時、人は宗教による救いを求める。悩みが絶えず、苦しい。憂鬱。私は何のために生きているのか?
男はこうあるべき、とか、女はこうしなきゃダメ、とか、そんなこと誰が決めた?
倫理は選択科目だが、実は人生における必修科目である。
子どもたちの反応
子どもたちは呆気にとられながらこの話を聞いていました。
谷口恭一
その中のひとりで、将来は教師志望の谷口恭一(池田優斗)はピンときます。あの人はきっとこれまでたくさん辛い思いをしてきたに違いない!
谷口はずっと苛められてばかりいたけれど、助けてくれる教師には一人も出会えなかったそうで、自分は苛められっ子に寄り添って助けられる教師になりたいと考えていたのだそうです。高柳こそ自分が目指す教師だと確信した谷口は、その言葉に真剣に耳を傾けました
。
逢沢いち子
高柳に興味を持ったのは谷口だけではありません。逢沢いち子(茅島みずき)も同様です。
逢沢は男子生徒と教室でセッ〇スをしていたところを高柳に見つかりました。高柳は「合意の上か?」と尋ねます。合意の上=真剣な付き合いなら構わないが、時間と場所は考えるべきだとだけ忠告しました。逢沢はそんな高柳を異性として意識します。先生、めっちゃ私のタイプなんだ。どんな子がタイプ?エロイこと好き?
高柳は「教養ある女性」が好きだと答えました。残念ながらあなたには教養がない。
高柳は「花魁」を例に挙げて説明しました。江戸時代の「超高級風俗嬢」だった花魁になるためには教養が必要だった。古典や文学、囲碁に将棋、舞踊や歌や三味線にお琴、茶道に華道。彼女たちは書道も習い、その文字まで美しかった。
性的魅力があれば人を魅了できると思い込んでいた逢沢は、目から鱗が落ちたようです。
それからは、高柳が授業で勧めた難しい本も読み、文字の練習も始めました。谷口がそんな逢沢を不思議に思って声を掛けると
、逢沢が過去をポロリと打ち明けます。どうやら逢沢の父親はひどいDVだったらしく、父親=男性が黙っている時の顔が怖かったのだそうです。でもエッチをすれば皆笑ってくれると知り、それからはとにかく彼らを「笑顔」にするために、体を差し出していたらしい
。
人を笑顔にするのって、エロだけじゃないのかもって思って。
喫煙は悪か
そんな高柳は煙草が大好きでした。校内では喫煙できないので、近くの「喫煙所」に通ってはすぱすぱ煙草を吸って、同僚の小林からネチネチ苛められています。吐く息に副流煙が残っている、とか、保護者から通報が来た、などなど
。
谷口も、これまた苛められた経験から煙草が大嫌いでした。高柳が煙草を吸っているのを見てすっかり幻滅したのをそれとなく本人に伝えたところ、高柳は、煙草をやめることは自分の救いにはならないのだと答えます。
私は不当に部屋を追い出されたいじめられっ子ですか?強制的に毒を吸わせたいじめっ子ですか?
谷口は言葉に詰まります。
成長
一方の逢沢は、本を読んだり、文字を練習したりするうちに、ただただ体を求めてくるマサヤが嫌になりました。それをはっきり伝えると、マサヤは仲間たちとともに逢沢を教室に閉じ込めて乱暴しようとします
。お前なんか、ただのエロ女のくせに!
その様子を谷口が見ていました。谷口は、一旦は恐怖から無視しようとしましたが、やっぱり黙っていられなくて、喫煙所で煙草を吸っていた高柳に走って知らせに行きます。
高柳はすぐに駆け付けてくれました。合意ですか?
逢沢が否定すると、マサヤが高柳を殴りました。教師が出しゃばんじゃねえ!
高柳はマサヤの体を抑え、教師の自分はたとえ暴力をふるわれても生徒を殴ることができないし、異性の生徒には落ち着くように背中を察すってやることもできない、と無念そうに語ります。お願いします。暴力は止めてください。
マサヤは仲間に引きずられるようにして去っていきました。
高柳は逢沢に、彼女が倫理の授業を選んでくれてよかったと語り掛けます。
倫理は人の心に触れ、自分の心に触れてもらう授業だ。あなたの背中に触れて慰めることはできないけれど、あなたの言葉を聞き、あなたの心に触れて慰めることはできるから。
逢沢は、やっぱり高柳が好きだと言い出します。私、いっぱい勉強する。きれいな字、書けるようになる!
高柳は満足そうにこう語りました。愛こそ貧しい知識から豊かな知識への架け橋である-マックス・シェーラー。
善人も悪人も皆善人
一方で高柳は谷口に老子の言葉を教えます。
善なるものは吾これを善とし、不善なるものも吾またこれを善とす。徳は善なればなり。
谷口は、苛めっ子も善人と思うのかと不思議がりました。高柳は、善人だから救う、悪人だから救わない、という観点で動いていると、いつか「苛めっ子を苛めてしまう」かもしれないと教えます
。あなたには「いい先生」になってほしい。苛めっ子も苛められっ子もすべてを信じ、救える先生に
。
エピローグ
谷口は高柳に煙草を吸うようになった理由を尋ねました。高柳は、大学生の頃、喫煙ルームに入り浸っていた先生とおしゃべりがしてみたかったからだ、と答えます。
ではまた倫理の時間に会いましょう。
感想
高校時代、こんなに心豊かな教師に出会えたら、子どもたちの人生もきっと豊かになるに違いありませんね。2話も視聴済みなので、そのうち続きを書きまするね。もし見逃した方で興味のある方は、1話はもう無理ですが、2話は1月30日の午前1:00から再放送がありまするよん。