ここは今から倫理です。 ネタバレと感想 第4話 思考停止の恐ろしさ
雨瀬シオリ氏作の学園コミック、【ここは今から倫理です。】の4話を視聴しました。今回もまたなかなか考えさせられるテーマでしたね
。人間が考えることを止めて「流されて」しまうとどうなるのか~ちょうど香取慎吾さんの「アノニマス」でも似たようなテーマを扱っていました。これは現代において最も憂うべき問題の1つなのかもしれませんね。子どもだけじゃなく、大人も同様ですが
。時代が大きく変わったことに気づかず、いつまでも自分の価値観が正しいと思っていたら大間違いです
。
以下ネタバレのあらすじです。
優しい兄
高柳の倫理を取っている近藤陸(川野快晴)は兄と二人暮らしでした。近所では有名な半グレの兄のカイト(山科圭太)も陸には優しく、いつもブロッコリーを添えたご飯を用意してくれます。
ある日もカイトは陸のためにナポリタンとゆでブロッコリーを作りました。陸が美味しそうに食べていると「友達の煙草」をカイトの代わりに届けてほしいと頼みます。その友人からもらうものもあるから「交換こ」だと茶化します。陸が渋っていると、お駄賃を出す、と付け加えました
。
陸は仕方なく煙草を手に出かけていきました。カイトに聞いた場所に行くと、いかにも悪そうな男に声を掛けられます。ねえ、あんちゃん、煙草貰っていい?
陸はカイトにいわれた通り「交換こ」を要求し、男の差し出した缶をもらいました。男は「交換こ」と笑って去っていきます。陸は心の中で、何かがおかしい、と感じていますが、口には出さなかったそうです。
そういうことはこれまでにも何度もありました。でもいつも「おかしい」と思うだけで誰にも聞いたことが無かったそうです。そのうちに「考えるのもめんどくさく」なっていきました
。
何で学校に行かなきゃいけないのか。何でうちには親がいないのか。何で兄ちゃんたちの作ってくれるジュースを飲むと次の日頭痛くなるのか。めんどい。いろいろ考えんのはめんどいし頭が痛くて。
しばらくして陸は男たちに囲まれました。どうやらカイトが「ヤク」を持って逃げてしまったらしいのです。男たちが陸に乱暴しようとすると、ジュダ(成河)という男が現れて、陸を救ってくれました。その子俺に頂戴
。どうやら彼は少年愛者みたいでしたね
。
倫理の教室で
高柳は「カント」について語っていました。人間は理性的な存在であると同時に自然的な存在である。沸き上がる感情や欲求に抗い切れないことがある。不快さよりも心地よさを求めるのは自然なことであり、人間はそもそも快楽への傾向性を持っている。
授業が終わると間幸喜が声を掛けてきました。陸はもう2週間も学校に来ていないのだそうです。担任の木原も心配していたそうで、間は何度も陸にメールを送っても返事がないのだと訴えました。山野亮太(浦上晟周)も陸とは仲が良いそうですが、こと家族のこととなると何も知らないのだそうです。
逢沢は陸と地元が近いらしく、カイトのことを知っていました。あいつの兄貴やばくて有名だから。今はやりの半グレってやつ?
高柳はその地元が笠山だと聞くと血相を変えて飛び出していきます。近藤君に連絡を取り続けてください!!
再会
高柳はジュダこと川村と知り合いでした。高柳曰く、2年前に教え子を彼に取られたそうです。その子は学校にいると何度も自殺を図ったそうで、高柳は懸命に話を聞いたそうですが、ついに彼女は学校に来なくなったのだとか。彼女は夜の繁華街で、ジュダと同じ「闇の世界」で生きることにしたのだそうです。彼女を心配した高柳は時々ジュダを訪ねては、彼女の話を聞いたそうです。
学校という正しい場所ではあんなに死にたがっていたのに。悪は憎むべきだけれど、彼女はその悪のおかげで今も生きている。
ジュダは、息せき切って入ってきてジュダを非難するような目で見た高柳を逆に批判しました。俺はこの子を助けただけだ。実際は手を出そうとした時、陸が高柳の高校の生徒だと知って思いとどまったのですけどね
。
ジュダは得意げに「性悪説」について語り始めました。荀子もカントもアーレントもそう言っている。
高柳は「人間は当然悪であるからこそ、その悪を乗り越えるために何をすべきか語っているのだ」と反論しました。ジュダは矛先を陸に向け、ハンナ・アーレントとルドルフ・アイヒマンについて語りだします。アーレントは、ナチスにおいてホロコーストを主導したアイヒマンについて分析した哲学者です。
アイヒマンは決して差別主義者でも快楽殺人鬼でもなく、ごく普通の真面目なドイツ人だった。上からの命令に忠実に従っただけの従順な官僚。
人間は「命令されたから」という理由だけで、毒ガスの噴射スイッチも原爆の投下スイッチも簡単にちゅうちょなく押せる生き物だ。誰もが当たり前のように悪であり、誰もがアイヒマンでユダなんだ。
川村が「ジュダ」と名乗っているのも、当然Judas=ユダを意味してのことでしょう。
高柳は、自分は教師だから、教師として善の心で彼に接すると断言します。彼がなぜここに来たのか、分からないかもしれないけれど、分かろうとすることはできる。だから私は問い続けます。近藤君、あなたはなぜここにいるんですか?
陸はまた「分からない」と繰り返しました。どうしたいか分かんないっす。
そこに間たちからのメールが届きました。泣いていた陸はそれを見て「学校に行きたい」と答えます
。
高柳は陸を連れて帰路につきました。そこで、もし悪に触れて怖いと思い、学校という正しい場所を不快に思っていないのなら、二度とこんなことはするなと言い含めます。
ちゃんと考えなさい!自分にとって何が善か悪かくらい!
一方ではジュダも仲間に陸には手を出すなと釘を刺しています。
エピローグ
陸は翌日登校しました。弁当にはブロッコリーとマヨネーズを持参します。自分にもそれくらいはできると笑います
。兄が捕まったと聞いた間と山野は驚きながらも、陸におかずを分けてくれました。おいしい、ありがとう
。
彼らは高柳が見ているのに気づくと、無邪気に笑って休んだ間のノートを写しているのだと教えました。高柳はいつものセリフで締めくくります。ではまた倫理の時間に会いましょう。
感想
ここでもまたアドルフ・アイヒマンが例に出てきましたね。今世の中で起きている犯罪の多くはこのアイヒマンのように「考えることを止めた人間」が起こしているのかもしれません。何が正しくて何が間違っているのかを考えることなく、誰かに流されて生きていくのはとても危険なことだと教えてくれたエピソードでした。
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