ここは今から倫理です。 ネタバレと感想 第5話 高柳の逡巡
雨瀬シオリ氏作の学園コミック、【ここは今から倫理です。】の5話を視聴しました。先週は地震で見られなかったので、延期していただけて何よりでした
。以下早速ネタバレです
。
心に傷を負ったふたり
今回クローズアップされた生徒は二人です。ひとりは、母親以外誰も気づいていないけれど、自宅でひそかに自傷行為を繰り返す高崎由梨(吉柳咲良)とゲームと倫理が好きな保健室登校の都幾川幸人(板垣李光人)です。
高崎
まず高崎は、どうやら家庭に問題があるようでした。父親はいるのかいないのか、母親は「宗教」にのめりこんでいて、高崎が自傷行為を行うもの、すべては「神」が解決してくれると主張します。高崎はそんな母が嫌でならなかったようですね。体中に付けた傷を隠すために、夏だというのにセーターを着こんでいました。なんとも痛ましい限りです
。
都幾川
一方の都幾川は、どうやら性同一性障害のようで、授業にはほとんどで出席せずに保健室で過ごしていました。特に「大声を出す男性教師」は苦手だそうです。でも高柳の声は静かで丁寧なので、うっとり聞いていられるのだそうです。2年の時に高柳の政経の授業を受けてそう思ったらしいので、その頃は授業に出てたんですかね。
学校に来られなくなってからは、通信制に転向しようとも考えたそうですが、高柳の倫理の授業を受けるために、1年残って頑張ることにしたのだそうです。
高柳の反応
高柳は、積極的に声掛けはしていたものの、特に都幾川が高柳にべったりとまとわりつくのが嫌でならなかったようです。保険の藤川が言うには、都幾川の母親は心の病気で時々暴力も振るったために、都幾川は会話がうまくできなかったり、人との距離感がうまくつかめなくなったらしい。
藤川は、人との接し方や愛し方を教えてもらえずに育ったのだから、大目に見てやってほしいと頼みますが、高柳はきっぱり断りました。声掛けはするけど触れ合いはできないというのです。
その原因はどうやら、以前高柳が憧れて煙草を吸うようになった大学時代の教授の一言だったようですね。教授は「女に助けを求められた時、女に『愛が欲しい』と泣きつかれた時、おまえならどうする?」と尋ねたのだそうです。高柳が答えられずにいると、一番手っとり早いのはその女を抱いちまうことだが、それは「明日の食費がないやつに五百円玉を与える」ようなものだと教えられたのだそうです
。
あさっては?しあさっては?そいつは毎日飢えている。こんな時、我々が行うべき最高の善とは何だ?
共通の話題
その答えは提示されぬまま、教室では都幾川と高崎が互いの共通の趣味がゲームだと知り、すっかり意気投合しました。その後で高崎は、都幾川が保健室登校だと知ったそうです。でもいざ話してみると、都幾川は人懐こくて顔も可愛く思えたのだそう
。高柳もそんなふたりをほほえましく見ていました。
拒絶
都幾川は、高崎と話した際の浮き浮きした感情で高柳にも話しかけてきました。高柳は、その話の内容には大いに共感と称賛を示しますが、どうしてもその「肉体的距離」が気になってなりません。もう少し離れてくれませんか?
絶対的な拒絶を感じた都幾川は、ものすごい勢いで走り去っていきました。それを見た藤川は、やたら「正しさ」を強調する高柳はエゴイストだと非難します。都幾川君が学校を卒業できることを最優先にしないと!
ふたりが言い争っているのを見た都幾川がまた動揺し始めました。それで高柳は、都幾川には素晴らしい可能性や才能が秘められているし、その心を救いたい、と話しかけます。あなたは少し臆病なだけで、本当は何だってできる、すばらしい人間です!
でも都幾川は納得しませんでした。先生、ギュッてして。
困り果てた高柳の顔を見た都幾川は、そんなつもりはなかったのだと謝りました。高柳も、どうすることが「最高の善」なのか分からないと困惑します。
都幾川の活躍
倫理の授業中、高柳の言葉と母のそれが重なった高崎は、いっそここで切っちゃおうか、とナイフを取り出しました。それを都幾川が見つけます。都幾川はすごい勢いで高崎にとびかかり、ナイフを奪いました
。何で?何でこんなことしてんの!?
逢沢はすぐに藤川を呼びに行きました。すると今度は都幾川が過呼吸で苦しみ始めます。高崎が驚いてこれを心配しました。高崎が本当に心配してくれてありがとうと礼を言うと、都幾川は、大切な身体なのだから、傷つけてはいけないと諭します。そうでしょ?
高柳の虚無感
一方の高柳はどうしようもない虚無感に苛まれました。半年かけて、何度も何度も倫理について語りかけた。正しいことが何なのか話し続けたけれど、それでも一瞬の心揺さぶる激情には勝てない。私など彼らにとっていらない存在だ
。
藤川は、高柳のような考え方は嫌いだと反論しますが、高柳は、藤川のようなおせっかいは嫌いじゃない、と打ち明けます。
エピローグ
なあ高柳、お前は人を救えるか?
その教授の声に、高柳はいまだに答えることができません。僕はどうするのが正しかったんですか?
感想
高柳は自嘲していたけれど、そうではありませんよね。子どもたちの心には、少しずつ「倫理」が蓄積されているとおばさんは思いますよ。高崎は時間がかかっているけれど、少なくとも都幾川は理解していたし、逢沢も著しい進歩をみせていますからね。続きもとっても楽しみです
。