ここは今から倫理です。 最終回 ネタバレと感想 逢沢の成長に惚れ惚れ
雨瀬シオリ氏作の学園コミック、【ここは今から倫理です。】もついに最終回を迎えました。あ~これは本当に良いドラマだった。もっともっとず~~っと見ていたかったです
。最後はね、あの逢沢の成長に感動しすぎて泣いちゃいました
。是非これはシリーズ化していただきたいです
。
以下最終回のネタバレです。
最後の授業
問題提起
高柳は、逢沢に対する「いじめ」について、倫理の授業で対話することを提案しました。これが最後の授業になります。
そもそも逢沢が虐められるようになったのは、クラス全体が参加している「グループチャット」から逢沢が黙って抜けたことでした。谷口などは、クラスの結束を大絶賛し、それがあるのもこのグループチャットのおかげだと力説します。
でも逢沢は、大学に行くために真剣に勉強したいのに、皆が何でもかんでもチャットに書き込むため、ピーピーうるさいのだと説明しました。実際に虐められているかどうかはチャットに参加していないのでイマイチ分からない、と付け加えます。
でも、チャットを読んでいるクラスメートの南は、明らかな苛めだと断言しました。すると谷口は「ごく一部の生徒による過激な反応」で、皆で虐めているわけではないと擁護します。するとほかの生徒から、黙認も同意だと指摘されました。
そもそもあんたんとこのクラス、仲良くなんてないよ。この子がハブられてる時点で分かるでしょ?
谷口が困っているのを見た逢沢は、みんなに謝って戻るし仲良くする、と言い出します。すると寡黙な曽我がおもむろに立ち上がって板書しました。最大多数の最大幸福~そのために個人を犠牲にしても良いのか?
逢沢は、それが「犠牲」だなどと思いもよらなかったと驚きました。田村は、いっそグループには戻って通知を切っておけばよいのではないかと提案します。田村もそうしているのだそうです。たまにスタンプとか送っとけば全然ばれないよ。
でも近藤陸(川野快晴)は納得しませんでした。戻れと勧める谷口に、もし君が同じことを言われたらどう思う?チャットに復帰すれば、過去の「苛め」は消えてなくなると思えるのか?、と尋ねます。谷口も認めざるを得ませんでした。
その後話題は「逢沢が耐えられるかどうか」に集中します。卒業までの3カ月をやり過ごせばいいだけなら、妥協も悪くない、全員と仲良くすることなど不可能なのだから。
先生、これって結論出るんですか?
教室は社会の縮図
そう聞かれた高柳は、皆の話が素晴らしすぎて、何も考えていなかった、と語りました。一人一人が正直に飾らず話してくれて、それがとても心地よかった
、と称えます。もっと聞いていたかったけれど時間もない、高柳はそう言って、彼なりの意見を述べました。
この問いに明確な結論は出せない
一人一人に意見があり、それすべてに一理ある。共同体を維持するために誰かに我慢を強いていいのか。正しさを守るために人を傷つけていいのか。自分の意志は他人の意志より尊重されるべきか。
この葛藤は世界中に渦巻いているのです。そして「考え続けること」でしかその結論は出せないし、高柳の言う通り、これだという答えはないのかもしれません。その都度その都度頭を絞って考えて考えて、なんとかベストな答えを導きだそうとする行為そのものが「倫理」なのです。
高柳は「教室と世界は思考によってつながっている」と明言します。
人間は考える葦である。人間は葦のように弱いが、広大な宇宙をとらえるほどの思考の力を持っている。我々の尊厳の全ては考えることの中にある。
Blaise Pascal
考え続けて下さい。思考し続けて下さい。自分のことだけじゃない、目の前にいる相手の気持ちを。見も知らぬ遠い異国の人のことを。過去に生きてきた人たちのこと、これから生まれる未来に生きる人たちのことを。世界は広大で宇宙はどこまでも広がっていますが、あなたたちはその果てまでも飛んでゆくことができる。
逢沢さん、皆の意見を聞いてどうしますか?
高柳の問いに逢沢は、どうもせずに放っておく、と結論を出しました。逢沢は、今、目の前で逢沢のために真剣に思考し、語り合ってくれた皆が「友達」だと確信したのです
。友達なら、みんながいるもん
。
卒業
こうしてその後は受験一色となり、逢沢は、宣言通り苛めを気にせず、勉強を続けました。でも、逢沢の悪口を言っているクラスメイトの中には、そんな逢沢の転身に感心していた女子もいたようで、逢沢はそうした生徒の眼差しに気づいては笑顔で答えています
。
逢沢はその小論文で、今回得た教訓を記しています。
自分にとって正しいことでも他人には間違ったことで、他人が心地よくなるために、自分は嫌な思いをしたりする。同じ世界に生きていても同じものが見えているとは限らないし、同じものを見て、同じように考えていても、同じ人間ではない。私は私で君は君。決して1つになることはない。空に浮かぶ星みたいに。人間って寂しいね。生きるってなんて独りぼっちなんだろう。独りぼっち同士、そばにいようよ。
逢沢は見事大学に合格し、念願だった高柳への告白に踏み切りました。が、あっさり振られてしまいます。高柳はどうやらバツイチらしく、もう結婚には懲り懲りなのだそうです
。
高柳に好かれたい一心で懸命に勉強した逢沢は、それをもっと早く言ってくれれば、こんなに頑張らなくて済んだのだと怒りました。
エピローグ
子どもたちは皆それぞれの道を歩み始めています。コンビニで働く者、大学に行きながらバイトを捜している者、リモートで講義を受けている者、様々です。逢沢も、シッカリ胸を張って生き生きとしていました。そう、まさにここからも倫理の時間なのです
。

感想
逢沢は振られた腹いせに、もっと早く振ってくれればこんなに勉強せずに済んだ、と怒鳴っていましたが、そこまで頑張ることができただけで高柳を好きになった甲斐があった、彼の存在価値があったというものですよね
。
いや~本当に良いドラマでした。当たり前のことを当たり前に教えてくれるだけなんだけど、今はその当たり前のことが当たり前じゃなくなっているから、皆が自分のことばかり考えてギスギスしているのだと思いますよ。もっと一人一人が優しくなれるよう、是非たくさんの人にご覧いただきたいです
。