ガラパゴス 後編 ネタバレと感想 ひたすら胸が痛かった
※本ブログでは記事中に広告情報を含みます
相場英雄氏原作の社会派ドラマ、【ガラパゴス】の後編を視聴しました。視聴中も視聴後もただひたすら胸が痛かったです。でもだからこそ、最後の田川のメッセージが、その胸に深く突き刺さりました。良い作品を映像化して考える機会をくださったことに深く感謝いたします💐。
以下、後編=「働く。生きる。誰もが幸せになっていいはずだ。」の、前半はあらすじ、後半はネタバレです。
仲野定文の14年間
田川は木幡とともに、派遣労働者、仲野定文が生きた14年間という足跡を丁寧に辿っていきました。イクノテックをはじめとする「ホープネス系列の派遣会社」には既に鳥居の手が回っていて、あからさまに捜査を妨害されましたが、仲野をよく知る仲間たちは皆、彼の死、しかも殺されたと聞くと、進んで協力してくれます👍。仲野が誰からも慕われ、愛されていた事実が伝わってきます。皆、少しでも彼の無念を晴らす手伝いがしたいと考えてくれていました。
前回登場した有吉も、早速、仲野と一緒のラインで働いていた派遣社員を思い出したと電話で知らせてくれます。美濃加茂工場での写真に一緒に写っていた宮崎晴夫(野間口徹〜鵜殿長照@どうする家康)という人物で今は名古屋にいるそうです。田川はすぐに名古屋に飛びました。
仲野は誰かに恨まれていたかと聞かれた宮崎は、そんなことはあり得ない💢、と断言します。仲野はなけなしの小銭を集めて、カラオケやソフトボールの試合をくんだり、缶詰を持ち寄って河原で宴会をしたりし、そんな時には自ら三線を弾いてくれるような人間だったのだそう。それは彼自身が明るい性格というよりも(劣悪な)派遣社員の生活を少しでも潤いのあるものにしよう🌸と考えていたからなのです。
また、同じ写真に写っていた女性社員の脇田朱美(篠原ゆき子〜高梨由紀@今度生まれたら)も仲野の死を知って大いに嘆きました。彼女は生活苦から体を売っていたことがあるそうで、その際、仲野がそれこそ体を張って彼女を守ってくれたのだそうです。しかも14万という、彼にとっては大金を黙って貸してくれました。どうやらその金は、宮国の葬式のために宮古島に帰ろうとして用意した金だったらしいのに。脇田が受け取れないと断ると「俺が一度島に帰るのを我慢すればいいだけだ、そうすれば朱美ちゃんが辛い思いをしなくて済む」と答えたそうです。
脇田は、必ず犯人を捕まえて欲しい!と涙ながらに訴えました。仲野さんががいなかったら今の私はいないんです!!
相互監視
また宮崎は、ホープネスで行われていた驚くべき「相互監視」についても明かしてくれました。ホープネスでは、まるで江戸時代の五人組のように、派遣社員同士でお互いを監視させていたのだそうです。こうしたいわゆる「チクリ」をさせて、その代償として時給をあげたり、希望の工場に異動したりして派遣社員を支配していたのだそう😈。社員寮とは名ばかりのタコ部屋に放り込まれていた彼らのさらに悲惨な実態が伝わってきます😨。
その「チクリ」を積極的に行っていたのは清村仁(しむら、坪倉由幸〜刀根泰士@石子と羽男〜そんなコトで訴えます?)という同僚でした。パソコンが得意だった清村は、ハッキングやソーシャルエンジニアリングを駆使して、仲間を陥れていたそうです💀。
パソコンといえば、仲野もしょっちゅう掲示板などに書き込みをしていたそうです。脇田は一度何をしているのか聞いたことがあるそうですが、いつもは穏やかな仲野が珍しく怖い顔をして、絶対に教えない、と教えてくれなかったのだそう。でも脇田はその時仲野がポツンと「俺たちはガラパゴスの最前線にいる」と呟いたのを思い出してくれました。
内部告発
この「ガラパゴスの最前線」から内部告発につながっていきます。前編に登場した経済アナリストの小島が、5年ほど前に、日本の製造業の矛盾や現場のジレンマなどを具体的に書き込まれたサイトを思い出してくれたのです。おそらくは自動車会社のエンジニアによる内部告発ではないかと話題になった、と教えてくれました。そのログは既に鳥居とその仲間の高見沢紅美(泉里香〜榎本美波@正直不動産)によって削除されてしまいましたが、小島はそのアカウントが「ガラパゴスの最前線」だったことを覚えていてくれました。
以下ネタバレです。
仲野の死の真相
前編で、ヒラガモーターズという自動車メーカーが売り出したエクセスLという車種の「最後の一台」が事故に遭ったことを受けて、メーカー社長の松崎直樹(鶴見辰吾〜荒金正人@舞いあがれ!)やホープネス社長で鳥居の先輩だという森が胸を撫で下ろしていました。彼らの話から、どうやらその「一台」には不具合があったらしいのに、持ち主がガンとして交換に応じなかったらしいのです。
その不具合というのが、仲野が告発した「不正」によるものでした。ヒラガモーターズは経費を削減するために、安い鋼板を使って車体を作っていたのだそうです。そこに派遣社員の仲野が気づいた。仲野は、こんな安い鋼板では人の命を預かる車のボディを作れない!と憤慨したそうですが、一派遣社員の言うことなどまともに取り上げてもらえません。
そこで仲野はSNSや掲示板を通して、この不正を告発することにしたのだそうです。そしてこれに清村が気づいた😨。
清村は早速森に報告し、森は仲野の口を塞いだのだそうです。彼を自殺に見せかけるためのシナリオを書いたのは、現職の刑事である鳥居でした。鳥居は、仲野の捜査が手薄になるよう、近隣で大事件が起きるのを待って、殺害を実行させたのだそう😡。
清村を手伝ったのは、やはり仲野と同じく派遣をしていて、あの沖縄の店で一緒だったメガネの男=長内保(上地雄輔〜梶新九郎@善人長屋)でした。彼もまた有吉らとともに(眼鏡をかけずに)美濃加茂工場での写真に写っていたそうです。清村と長内は、この殺害と引き換えに「正社員」の座を手に入れました。
田川と木幡は、鳥居の仕事内容を調べていて「自動車事故」があったのを知り、そこからヒラガモーターズに辿り着きました👍。「最後の一台」のエクセスLの持ち主の遺族のもとを訪れて、ようやくその車台番号が780816だったことを突き止めます。長内は清村たちに毒を飲まされた後、必死でノートを破り、そこにこの番号を書き込んだのだそうです。「新城も」はその裏に書かれていたのですね。この番号の近辺の車はとても危険だから、決して世に出してはいけない💢!彼はそう叫びたかったのです。
長内は、清村とともに長内に毒を飲ませて立ち去った後、様子を見に舞い戻ってきたそうです。その時仲野は苦しい息の下から「貧乏の鎖は僕で最後にして」と語ったそうです。それが、いつだって自分のことより他人のことを優先して考える優しい青年だった仲野の心からの願いだったのですね。
その後田川は、収賄で鳥居をマークしていた監察と手を組み、鳥居が隠し持っていたSDカードを手に入れました。そこには鳥居が保険として隠していた、仲野の書き込みが収められていたそうです。また鳥居にも仲野と同じ心の傷があると踏んだ田川は、わざと鳥居を挑発して森と松崎の名前を引き出しました。
清村と長内、そして高見沢と鳥居を逮捕して、次はこのふたりの社長を!と思われた矢先、捜査は上からの命令で打ち切りになったそうです😱。事件は、派遣社員同士の金銭トラブルとして処理されました。警察幹部とふたりの社長の間で真相が闇に葬られたのです😡。
でも田川は納得しませんでした。仲野の事件の証人として法廷に呼ばれた彼は、全てを明らかにします🎉。裁判長も、検事も、仲野の最後の言葉にはさすがに胸を詰まらせていたようでした
。その後、この大きな罪は実際に裁かれたのか、それともそれも揉み消されてしまったのかは不明ですが、田川は言わずにいられなかったのでしょう。
差別や貧困はこの国から無くなってなどいない。その事実から目を逸らさずに、たとえどんな小さな一歩でもいいから、変えていくことが仲野さんの死を無駄にしないためにできる唯一のことだと私は思う。
エピローグ
宮古島では、子供夫婦の後に孫にまで先立たれた眞榮が、静かに三線を奏でていました。そこへ成長した仲野が笑顔で走ってきます。おじい!おじいっ!!眞榮は孫をひしと抱きしめました🌹。
また田川は木幡とともに宮古島にやってきて仲野家の墓に手を合わせました。木幡も田川も、ともに「仕事」が他人との絆を育むものでなく、他人を傷つけるものと化し、ただ金を得るだけの手段になっていることに大いに疑問を呈します😠。
普通に仕事をして普通に飯が食えて、普通に家族と過ごす。そんな当たり前のことが難しくなった世の中ってどこか狂ってないか!
宮古島の海岸はどこまでも清く美しいのに。田川は憤懣やるかたない表情で、その海岸を睨みつけていました。
↓これはもうフィクションではありません😨。

NHKドラマ『ガラパゴス』原作者が明かす「複雑な気持ち」と「沈没する日本」の現実(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース
本日より拙著『ガラパゴス』(上下巻・小学館文庫)がNHK(BSプレミアム・BS4K、後編は13日)にて前後編として放映される。
- 関連記事
-
- エトロフ遥かなり 最終回 ネタバレと感想 なんとも皮肉な幕切れでした
- エトロフ遥かなり ネタバレと感想 第3話 杉田と斉藤の駆け引きに目が釘付け
- エトロフ遥かなり ネタバレと感想 1&2話 実に見応えがあります
- 韓ドラ 【HUSH〜沈黙注意報】も見ています(1〜6話ネタバレと感想)
- 警部補ダイマジン ネタバレと感想 第4話 なんとな〜くどこかが物足りない
- 警部補ダイマジン ネタバレと感想 第3話 土日の老人
- 警部補ダイマジン ネタバレと感想 第2話 平安の父親
- 【警部補ダイマジン】を覗いてみました(第1話ネタバレと感想)
- 天使の耳〜交通警察の夜(前後編)ネタバレと感想 見応えあって面白かった!
- 悪魔判事 最終回 ネタバレと感想 多数決は正義か?(10〜16話含)