今ここにある危機とぼくの好感度について ネタバレと感想 第2話 無知の知
松坂桃李さん主演のブラックコメディ、【今ここにある危機とぼくの好感度について】は2話もめっちゃ面白かったですね~。主人公の神崎を思いっきり笑いながらも
、ふと、自分にもこんなところがあるのではないかと思わせる
、本当に素晴らしいブラックコメディの傑作です
。
以下ネタバレのあらすじです。
本格調査のはずが・
木嶋の訴えに感動して本格調査を始めるはずだった三芳がとっとと雲隠れしました。そして、調査の指揮を執るはずだった調査委員の上田教授は、理事たちからのプレッシャーに押しつぶされて倒れてしまいます
。実際には木嶋との板挟みが辛かったようです
。
後に木嶋が明かしたところによると、そもそも上田に協力を要請したのは木嶋だったそうで、木嶋は、岸谷とは専門分野が近いから調査委員となって不正を証明してやると約束してくれたのだそう。が、いざ調査を始めたら、当局の隠蔽体質が予想以上にひどかったことが分かり、もう無理だから諦めると言い出したのだそうです
。木嶋は、諦めるなんて絶対に嫌だと言って、実名と顔をさらしてしまったのだとか
。
申し訳ないことしちゃった。ネズミみたいに気の小さい人なのに。
神崎は、人間誰しも弱いし、皆自分の立場を守りたいから仕方がないと言うと、木嶋は、理事たちは違う、自分を弱いと思っていない、権力があるから強いと思っているし、強いから間違う訳がないと思っている、と反論します。
恥の上塗り
その証拠が「意味の読み替え」です。なんと理事たちは、岸谷がデータの改ざんを命じる際「整えて」という言葉を使ったのを良いことに「整えて」とは「机の上を整えて=掃除しておいて」という意味だった、と言い出したのだそうです
。そのお達しが研究室全員に回されたと聞いた時には、さすがの神崎も呆れてものが言えませんでしたね
。
さすがにそこまではしないでしょう。そんなバカなことするかな。そう否定してはみたものの、動かぬ証拠を見せつけられると、即座に逃げ出す神崎なのです
。僕は何も聞かなかったし見なかったことにする。僕はしょせんその程度の男だ。上司を敵に回してまで、日本の科学研究のために、戦いたいなんて気はさらさらないです!
一方、倒れた上田に代わって名乗りを上げたのが、大学で一、二を争う変人の澤田教授(池田成志~諸田祥一@半沢直樹)です。澤田は、その存在そのものがジョークのようなキャラで、あまり詳細を語りたくはありませんが、澤田はすっかり木嶋が気に入り、学生新聞を巻き込んで当局と闘うことにします
。
理事たちは、震度4の地震が起きてキャンパス内の古い銅像が壊れたのをきっかけに、新聞部が使用している建物の利用を禁じました。も~震度4ぐらいでガタガタ騒ぐな
。
やぶ蛇
ところがこれがとんだやぶ蛇になりました。澤田や学生たちのみならず、他の教授たちも、これぞまさに言論の弾圧だと立ち上がります
。そんな姑息な手を使って学生新聞なんか潰してる暇があったら、論文不正があったのか なかったのか、大学はとっとと真実を明らかにするべきなんですよ!
こうして大学側は活動休止通告を撤回せざるを得なくなりました。石田はいら立ちを隠せませんでしたが、神崎はひそかにほくそ笑みます
。自分のあずかり知らぬところで不正が明るみに出されるならば、こんな結構なことはないではないか
。
ところがそうは問屋が卸しません。今度は学生たちが「決起集会」を開くことになりました。煽ったのは澤田です。常に正論を吐くことで知られている室田教授(高橋和也~石川太郎左衛門@小吉の女房)も支援者として加わるそうです。
場所は木嶋の実家のスナックと聞いた神崎は慌てて駆けつけました。澤田は決起集会などそっちのけで、十八番の歌を熱唱しています
。あの年代ってどーして「真っ赤な太陽」とか(沢田研二の)「TOKIO」とか好きなんでしょうね~しかも無駄に上手い
。
店に入った神崎は、カメラを向けられて逃げ出しました。神崎はカメラが怖いのだそうです。心配して後を追ってきた木嶋は、店の裏口から中に案内しました。神崎は、どうすればよいのか分からずに頭を抱えます。澤田をここから連れ出したいが、俺がカメラに映るのはまずいよなあ。ここに俺がいるのが理事にバレたら大変だ
。
木嶋は不思議そうに尋ねます。なんでダメなの?あの人たちに騒ぎを起こさせないようにしろって命じられているんでしょう?
神崎はハッとしてホッとしました。神崎はいつの間にか木嶋のために来たような気になっていたそうです。みのりちゃんをあいつらから守らなきゃいけないような気がして
。
木嶋は嬉しそうに微笑みましたが、神崎はそれどころではありません。よし、俺は当局の犬だ!
ところが「金と力のない色男」は、あっさり、澤田にぶちのめされてしまいます。鼻血を出して倒れている神崎にスマホを向けていた学生たちは、自らの良心と良識に従ってその映像を削除しますが
、ひとり紛れ込んでいたパパラッチは別でした
。彼は「不正を告発した元ポスドクが場末のスナックでバイトしている姿」を撮りに来ていたのです
。
災い転じて?
翌日、その世にも情けない姿が報じられた神崎は、真っ白い作業服に身を包んで懸命にトイレ掃除をしていました。清掃業者から、そんなに丁寧にしなくてもいいと止められるほど熱心に掃除をします。いや、やらせてください。厄払いにはトイレ掃除が一番らしいんです
。
そんな神崎に三芳が連絡してきます。三芳は澤田を、神崎に暴力をふるったことを理由に停職処分にした、と目に嬉し涙を浮かべながら報告しました
。いや、ご苦労様。すべてお前のおかげだ。理事たちも、さすがは神崎君だと大喜びだ。ありがとう。本当にありがとう!!私が不甲斐ないばかりに、許してくれ
。
こうして不正はなかったことになりました。上田も、来年の研究予算を倍にすると理事たちに買収されて、黙ることにしたのだそうです。上田は木嶋に「すべてはポスドクのミスだったことにしてほしい」と泣いて謝られたのだそう
。
さすがの神崎も木嶋のために憤慨し(たふりをし)ます。怒んなかったの?日本の科学研究はどうなるの?
木嶋は、すべては自分の完敗だと認め、九州の会社に行くことにしたのだそうです。昔の研究仲間が呼んでくれたらしく、小さくてもちゃんとした研究室があるのだそうです。あんなにエラそうなこと言ってたのにね。あんまり苛めないで。
神崎は、またしても、自分の無神経さに気づきます。あ~ごめんごめんごめんごめん。やっちゃったな、ホント、ごめん
。
そして木嶋に会えてよかったと語りました。本当に色々教えてもらって勉強になった。俺は自分だけが可愛いけど、同世代でこんなに色々考えている人もいるんだな、俺も頑張んなきゃと思った。この人に会うのに恥ずかしくないようにならなきゃな、と
。木嶋もまた、神崎のあの時の言葉は嬉しかった、と伝えます。「私のために来た気がしてた」って言ってくれたこと
。
神崎は、調子こいて、また連絡をしてよいかと尋ねましたが、キッパリ断られました。ダメ。でも木嶋の目には涙が浮かんでいたようです
。
神崎は、何か大事なものを失った気がしたけれど、それが何だか分からず、何で埋めて良いかもわからずに、とりあえずは恋人と食事に行き、ふわとろオムライスを食べることにしました。
感想
自分の手に余る問題にぶち当たった時、誰もが目を背け、思考を止めてしまいがちです。でも果たしてそれでよいのでしょうか。大事な問題から目をそらしたまま、考えを止めたまま生き続けていたら、いざその問題が目の前に突きつけられた時、どう対処するか慌てるのは自分自身なのですよね。はたしてそこまでの覚悟ができているのでしょうか
。私たちに神崎を笑う資格があるでしょうか
。
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