今ここにある危機とぼくの好感度について 最終回 あらすじと感想 必ずや名を正さん

松坂桃李さん主演のブラックコメディ、【今ここにある危機とぼくの好感度について】は最終回も素晴らしかったですね〜。5回で終わるのはもったいないほど濃い内容でしたが、逆に「山椒は小粒でピリリと辛い」の例え通り、短いからこそパンチが効いていて良かったのかもしれません。あ〜実に面白かったです。以下早速ネタバレです今ここにある危機と僕の好感度についてのネタバレ感想行きますよ~( `ー´)ノ

愛は陽炎

ラブは偉大だ

木嶋から神崎に電話がかかってきました。その電話を待ち望んでいた神崎は、それだからこそすぐに出られなかったそうです。今の自分が木嶋と話したら、どんなみっともない弱音を吐くか分からないからです。あ〜ダメだ、ダメダメ!そう言いながら次の瞬間には電話に出てしまった神崎なのです。もしもし、みのりちゃん?

木嶋は「例の虫」についてテレビでも見たし、コウスケからも電話をもらってすっごく心配になって電話したのだと説明しました。ねえ、大丈夫なの?神崎は思わず泣き出します。うう、俺、俺さ、死んじゃうかも・・・。もうどうしたらいいか、分かんないよ、俺。道端にうずくまってそう嘆く神崎を、子どもたちが遠巻きに眺めて歩いていきます

その夜、しかもかなりの深夜、また木嶋から電話がかかってきました。木嶋は神崎を心配して、あれこれ論文を調べてくれていたのです。それによると、サハライエカによる蚊アレルギーで重症化した患者には甲殻類アレルギーという共通点があったのだそうです。神崎君さ、カニ好き?エビは?神崎はどちらも大好物だそうで、それを聞いた木嶋は、じゃあ大丈夫かも、と微笑みました。これはあくまでも50年前のスペインの報告だそうなので当てはまるとは断言できないようですが、神崎は大いに安心して泣き出します。木嶋も少しホッとした、と言ってくれました。でも今後の経過をちゃんと見る必要があるからね

神崎は、木嶋がこんなに遅くまで神崎のために調べていてくれたことにも感激し、木嶋が別れを告げようとすると、片付けるまで待っている、と答えました。申し訳なくて僕だけ寝るなんてできないよ。木嶋も笑顔でうなづき、片付けが終わるとそう報告します。うん、お疲れ様。うん、じゃあ。うん、じゃあ・・・また。またね

翌朝起きた神崎は、自分が明らかに変わったと確信しました。いつもなら「好感度を上げるために購入するお菓子」にも目もくれずに職場に急ぎます。職場では石田が検査結果を気にして寄ってきましたが、無駄な愚痴もこぼさずに、まっすぐに総長室へ向かいました。そして洗いざらいをぶちまけます。

理事たちの隠蔽

  • 今回の蚊はうちの研究センターから流出したサハライエカのボウフラが原因で生まれた雑種であるらしいこと
  • この被害は、人によっては死に至るほど危険なものであること
  • 鬼頭、布川、斎藤の3人の理事たちはそれを知りながら隠蔽しようとしたこと
  • 斎藤理事が神崎と鬼頭に受けさせた検査は蚊アレルギーとは無関係のものだったこと

三好は言葉を失います。なんたる・・・。神崎は、速やかに市に報告して国際展示場の蚊の徹底駆除と被害者への対応 相談しようと促しました。三芳はしばし呆然としていた後、確かに神崎のいう通りだが、この話だけで理事たちが口を割るとは思えない、と憂えます。また「エビデンスがない」だの「邪推」だのとシラを切るのは目に見えている。しかもここで逃したら、次はより巧妙な隠蔽工作を仕掛けてくるぞ!

横で話を聞いていた安藤は、それこそ蚊と一緒で、一発でバチンとやらないとダメだとはっぱをかけました。でも神崎はそれも想定済みで、ある奇策を考えていたそうです

愛は好感度より強し

神崎は足立から普通の蚊をもらってきてシャーレに閉じ込めておき、理事たちがいつも通り事実を否定しようとしたら、そこまでいうなら、今ここでこれを放しても問題ないだろうと「パカっ」と蓋を開ければよいと提案しました。それでもし彼らが逃げれば、危険性を知っていた証拠になると力説します。三芳は思わず「それでお前の好感度は大丈夫なのか?」と心配しました。神崎は鼻で笑い、好感度なんてものはもうどうでもいいのだと答えますふん、好感度なんて忘れました。僕はそんなものよりもっと大事なものを知ったんで

キビキビと去っていく神崎の後ろ姿を見ながら、三芳と安藤は同じ疑問を抱きます。一体あいつは何を知ったというのだ?

それはラブだ〜神崎は、これまでこの上なくみっともなかった自分を見捨てることなく、いつも遠くから見守り、最後はこうして必ず助けてくれる木嶋の愛を確信していました。愛を知った男には、もはや恐るるべきものなど何もない!俺は生まれ変わったんだ!!俺にはみのりちゃんが付いている!

でもこれは、もちろん、ただの気のせいでした

対決

三芳は理事たちにこの事実を伝えました。案の定、彼らはしらばくれようとしますが、三芳は一歩も譲りません。そして三芳はついに「パカっ」への布石を置きはじめます。サハライエカに刺されて死に至った患者には共通点がある

  1. エビやカニなどの甲殻類が大好きでよく食べる
  2. 50代以上の男性で高学歴、飲酒の習慣があり、週に1回以上、職場の同僚と昼食を共にとること

理事たちはおもむろに心配し始めたため、三芳は、今回の蚊がサハライエカでない限り心配はいらないと追い討ちをかけました。そして理事の一人がその条件に疑問を呈し始めるとすかさず、神崎のシャーレに注目させます。何?それ?

どうやら「パカっ」はやめて、すでに3匹外に出ているということにしたらしく、それを聞いた理事たちは、我先にと逃げ出しました。やばい!逃げろっ!!気の毒な鬼頭はショックで気を失ってしまいます

三芳はテキパキと指示を出し、市長に会いにいきました。もちろん須田が邪魔してきます。市長に連絡をして釘を刺させたのです。市長は、蚊の徹底駆除は行うけれど、次世代博に差し障ることは絶対に避けたいと明言されてしたそうです。サハライエカが流出したことは決して公表しないでほしい。経済波及効果は30億、準備に4年かかってる。帝都大が補償してくれるのか?

一方で堀田教授も隠蔽に加わりました。サハライエカは一月前に全て処分したと言ってきます。

コウスケは、これでまた真実は闇に葬られるのか、と嘆きました。ちなみにユウナは退院して元気になったそうです。カニとエビも大好きだそうで、それを聞いた神崎はよかったと喜びますが、コウスケは納得できません

若人の正論

だって、刺された人の中には絶対にアレルギーの人がいるはず。その人たちはゆっくり死んでいくんでしょう?あの時刺されたのが原因だとも知らずに!!大学も俺らも、その人たちを見殺しにするんですよね?たかがイベントのために。金や未来がかかっているからってなんだと言うんだ。そのために何人かは犠牲になってもいいってことか?ク◯じゃないすか、そんな社会!そんなん超◯ソなんじゃないすかね!?

神崎はそうだと開き直ります今更何言ってんの?僕が好きでこんなことをしてるとでも思ってたの?。今頃気づいたの?世の中とはそういうもんだ。負け組は負けるしかないし、少数派は多数派の犠牲になるしかない。だから「好感度」が大事なんだ。俺みたいななんの取り柄もないやつは、片っ端から忖度しまくって、媚びへつらいまくって好感度上げるしか、生き残る方法なんかないんだからねだから僕は好感度を大事にしてきたんだよ!!愛なんか、愛なんかなんの役にも立ちゃしない

神崎は絶望し、木嶋の連絡先を消去してしまいました。やはり愛など自分にはふさわしくない。この難しい世界で、愛なんぞ信じ抜くには自分はあまりにも弱い男だったんだ!

起死回生

澤田が大活躍

神崎が電話を取らなくなったことで心配になった木嶋は、澤田に連絡をしてきました。澤田は、神崎が再び始めた差し入れのどら焼きを2つも3つも手にしながら上機嫌でのたまいます。例の蚊のことで超面白いことが分かってさ。なんと、サハライエカの毒は同じアフリカに住む「毒アリ」で中和できるらしいのです。足立からこの話を聞いて、どこにでも取りに行く、とはやりたつ神崎を、足立は「ここをどこだと思ってるんだ」と押し留めました。そう、足立の稀少生物研究センターにはその「毒アリ」もいたのです。神崎は心の底から感動しました。僕、生まれて初めて昆虫研究を尊敬しました!

でも安心するにはまだ早い。なんでも、蚊の遺伝子は生息地が違うと少しずつ違っているそうで、博覧会場の蚊の遺伝子と堀田研究室のサハライエカの遺伝子が合致すれば、前者が後者、つまりは堀田研究所のサハライエカの子孫だとほぼ間違いなく特定できるのだそうです。でも神崎は、もうすでに堀田は処分したと言っていたと残念そうに語りました。が、足立と澤田は「いるに決まってると豪語します。科学者ならば「あんな希少種」を自分の立場が危うくなったぐらいでそうやすやすと処分するようなことはしないのだそうです。

コウスケとユウナも協力してくれました( `ー´)ノ

堀田の研究室に忍び込んだ3人は、すぐにサハライエカを見つけました。凶暴な生物こそ一番管理しやすいところに置くのだそうです。調査の結果、二者の遺伝子は見事に合致しました

必ずや名を正さん

神崎はその後すぐに三芳に会いにいき、その本心を確認しました。この事実が世に出たら、次世代博がぶち壊しになり、三芳は確実に責任を取らされるからです。それでも証拠を手に入れたいですか?三芳はうんと答えました。その理由が「必ずや名を正さん」です。これは論語にある孔子の言葉だそうで、三芳はこれをこう解釈していたそうです

問題には正しい名を付けなければそれを克服することはできない。蚊の流出が事実なら、それを「証拠不十分」と言い換えてはならない。私は学者だ。誇りを持って孔子の教えに従うまでだ。

三芳は、木嶋もこれに近いことを言っていた、と言及しました。たとえば病気が重くて死にかけていたら、まずはそれを認めるしかない。それがどんなに辛くて嫌でも、まずは病名を知らなきゃ治療もできない。

三芳はこのことをまず理事たちに知らせました。理事たちはこぞって反対しますが、三芳の決意は揺らぎませんそれでこそ総長!( `ー´)ノ。これは人命に関わること。大学は営利団体ではない。真理探究の場であり教育機関。その名に恥じない選択をしなければならない

須田は、そんなきれいごとはたくさんだ、現実をみろ、と反論します。三芳は、現実を見たからこその結論だと言い放ちました。

帝都大は過ちを犯した。故に責任を取らなければならない。しかも我々は組織として腐敗しきっている。隠蔽と虚偽、そして黙認であらゆる不都合を揉み消してきた結果、信頼関係さえ失った。信頼も敬意も枯れ果てたような組織に、熾烈な競争を生き残っていく力などない。もし本当に生き残りを望むなら、どんなに深い傷を負っても現実に立ち向かうべきだ。乗り越えるべきだ。そのような「本当の力」を一から培わなければならない。これはその第一歩だ。

記者会見場で三芳がこの話をしている時、神崎はその後ろで滂沱の涙を流しました。その号泣動画がトレンド入りしたために、神崎は恋人に振られたそうです。彼女的には「恥ずかしすぎて無理」だったそうです。一方の木嶋は、号泣する神崎を温かい目で見守っていました

エピローグ

蚊の徹底駆除はどうにか間に合い、次世代科学技術博覧会は無事開催されることになりました。帝都大学は予定していた研究の出展をすべて取りやめ、関係各所への謝罪と説明に明け暮れます。示談金や慰謝料がいかほどに及ぶやらまだ見当もつきません。それでもそれまでひっきりなしに鳴っていた非難の電話が日に1本あるかないかに減った頃、三芳が総長に留任することが決まりました。そしてその三芳は須田を慰留したそうです。

神崎から理由を聞かれた三芳は、帝都大はいわば大手術をしたようなもの、これからが生きるか死ぬかの長い勝負になる、この局面を務められるのは須田しかいない、と断言しました

マスコミでは、あるコメンテーターが鋭い意見を発しています。誰かの失敗を叩けば叩くほど隠蔽は増えていく。厳しく罰しさえすれば、状況が改善するわけでは決してない。問題はそう単純なものではない

神崎にとって世界は相変わらず複雑なままで、分からないことだらけですが、それでもこの頃は少しだけ簡単に見えるようになった気もしているそうです成長したな〜神崎。それはラブ〜愛のせいかもしれません。ちなみに木嶋は神崎に会いにくるそうです

感想

最初このタイトルを見た時、なんて長くてふざけたタイトルだと思ったものだけれど、まさしく「今ここにある危機」とは、いつの時代にもどんな人々にも当てはまる普遍的な問題を指しており、それに対して「僕の好感度」とはその対極にある私的で矮小な問題だということに気づいた時、これはまた実に的を射て辛辣なタイトルをつけたものだと大いに感心した次第です。伊武雅刀さんのナレーションもまたいかにも絶妙でした。是非またパート2、パート3と作り続けていただきたいです

見逃した方は是非一見!
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COMMENTS

オッキー
2021/06/03 (Thu) 13:31

このドラマ、面白かったですね。コロナやオリンピックの時世に絡ませたうまい脚本に脱帽しました。この主人公は、松坂桃李さんしかないと思わせる演技力。毅然とはしていなく、なんか情けないようで、情けなくないところを演じたのは見事でした。でも、最後はフラれて無様なんですが(笑)。
鈴木杏さん出演のドラマを観るのは初めてだったのですが、彼女の存在も大きかったです。國村隼さんは、相変わらず頑固なオヤジを演じていましたが、今はこのキャラクターは右に出る方はいないのでは。
私も同様、パート2や3を観てみたいです。

こん
オッキーさんへ
2021/06/03 (Thu) 14:24

面白かったですね╰(*´︶`*)╯

オッキーさん、こんにちは〜♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪

本当に面白かったですね〜。ここまで辛辣なコメディは久しぶりで、実に見応えがありましたよね。

おっしゃる通り、松坂桃李さんの演技も素晴らしかったです( ̄▽ ̄)。鈴木杏さん、私も、たぶん見たことはあってもあまり印象に残ってなかった気がするんですけど、これはなかなか良かったですよね。地味だけど頼りがいのある女性を見事に演じておられました。ジャック・サマースビーのジョディ・フォスターを思い出しちゃいました。

國村さんは、単なる悪人じゃなかったところがまた上手かったですよね〜。「顔が怖い」学長も骨太感があって松重さんがピッタリでした( ´ ▽ ` )ノ。

ここまで楽しいドラマだと、スタッフも作り甲斐がありますよね〜。続編、待ち遠しいですね(^ー^)。こん

今ここにある危機とぼくの好感度について