特集ドラマ【流れ星】あらすじと感想 暖かくてとっても素敵な作品でした
宅間孝行さん原作のNHK特集ドラマ、【流れ星】を視聴しました。これがとぉ~っても暖かくて楽しい作品だったので、是非ご紹介したいと存じまする
。宅間さんは俳優さんとしてしか存じ上げませんでしたが、これまたおばさんが大大大好きだった「間違われちゃった男」もお書きになっていたのですね~
。どうりで優しいはずだ
。
と、見終わった後でもまだまだその余韻に浸れる【流れ星】のネタバレのあらすじです。
突然の別れ
主人公の星野夏子(松坂慶子~お徳@ぼんくら)は、親の代から下宿屋の徳秀館を営んでいました。今回それを閉めるにあたり、昔なじみにもお知らせを出したところ、そのうちの一人=下宿人だった田淵兼子(大河原恵)から電話がかかってきます。ちょうど昔の写真を見つけて眺めていた夏子は、懐かしそうに受け答えしていました。
そこへ夫の謙作(船越英一郎~伊丹清吾@花咲舞が黙ってない)が帰ってきます。夏子、お茶!
その謙作も兼子を知っているらしく、兼子という言葉を聞いて会話に混ざろうとしますが、夏子は適当に切り上げて電話を切ってしまいました。あなたによろしく、って
。
謙作は仕方なく話題を変え、商店街の福引で当たったからと、茶封筒を差し出します。どうせ大したもんじゃねえ、という謙作に夏子は「どうせ商店街の割引券か何かよね。いつも期限が切れてゴミになるのよ」といかにも迷惑そうに答えました。それで謙作は、そっと封筒をごみ箱に捨て、自治会の集まりに出かけると出ていこうとします。
お茶を入れていた夏子は、夕飯は?と尋ねました。済ませてくるの?
謙作はいかにもあてつけがましく「そのほうがお前も楽だろ」と答えます。夏子も「売られたケンカは買う」とばかりに「そうね、そうしてもらえる?」とやり返しました。謙作はため息をつき、何かを話しかけようとするのですが、夏子がこちらを見なかったので、ただ「行ってくるぞ」とだけ言うにとどめて出ていきます
。
それが夏子と謙作の最後の会話になりました。謙作は出かけた先で突然倒れ、意識不明に陥るとすぐ、亡くなってしまったそうです。
魔法使いマリー
49日が過ぎた頃、夏子の前にマリー(黒島結菜~中井貴子@ごめんね青春!)という少女が現れました。マリーは自分を「魔法使い」だと名乗り、4つの願いを叶えてやると言い出します。でも、人を殺したり、死んだ人を生き返らせたりするのはダメなのだそうです。
最初は半信半疑だった夏子も、目の前で「壊れた写真立」を直す魔法(1つめ)を見せられるとその気になります。魔法ってどんなこともできるの?
夏子は直してもらったその50年前の写真を見せて、この頃に戻りたいのだと伝えました。会いたい人がいるの。確かめたいことがあるのよ。
タイムスリップ
お手伝い
ふたりは夏子の希望通り、1970年8月にタイムスリップしました。夏子が感激していると、18歳の徳田夏子(平祐奈~ちえ@立花登青春手控え)がやってきます。夏子はてっきりふたりが「お手伝い」の募集を見てやってきたと誤解しました。それでマリーは調子を合わせ、ふたりは「星野夏美とマリー」の親子として、住み込みで徳田家で働くことになります。夏子の父=慎太郎(尾美としのり~番頭@俺の家の話)も喜んで二人を迎えてくれました
。以下の呼称もそれに合わせまするね。
過去に来た目的
それからふたりは下宿人たちに引き合わされます。そこで夏美は先生こと中富和也(堀井新太~青島雄太@一億円のさようなら)に遭遇しました。かつて夏美はその中富が大好きで、中富も夏美のことを想っていてくれたようなのに、なぜかある日突然、姿を消してしまったのだそうです。夏美が過去に戻りたかったのはその理由を突き止めるためでした
。
運命の出会い
その夜、いきなり乱暴な男が押しかけてきました。それが元は借金取りだった夏子の亭主の星野謙作(桐山照史~白岡榮三郎@あさが来た)です。当時慎太郎はかなりの借金を抱えていたのだそうです。謙作は、金を取りに奥に入っていった慎太郎の代わりに、娘の夏子のペンダントを値踏みしました。この時は既に「一目惚れ」していたようなのに、そんなことはおくびにも出しません
。
夏子が嫌がっていると、中富が助けに現れました。まるでヒーローです。すると謙作は(負けずに)ここに住むと言い出しました
。夏美が言うには、謙作はその後もずっと徳秀館に住み着くそうです。しかもどうやら中富がいなくなったのは謙作のせいらしいのです
。
夏美は、本当は中富と結婚すべきだった、今なら過去を変えられるのではないか、と主張しました。謙作はいつも一人で山に出かけて、ちっとも家庭を顧みないひどい亭主だったのだそうです。するとマリーは、そんなことをしたら「現在」も変えることになる、と忠告しました。ふたりが過ごしてきた時間も全部なくなっちゃうよ、それでいいの?
マリーはどうやら謙作を応援しているようで、夏美に内緒でひそかに謙作をたきつけていました。それで謙作は、ヨーロッパの映画が好きだと語った夏子のために「ひまわり」のチケットを2枚手に入れてきます。夏子は喜んで中富と出かけていきました
。
それでも謙作は気にせず、中富とも打ち解けていきます。いつも「あしたのジョー」ばかり読んでいた謙作が、中富から本も借りて読むようになりました。
爆弾犯
当時は学生運動が盛んな頃で、下宿人の一人の小林一平(横山涼)という大学生が犯人に疑われました。すると、意外にも謙作は、小林は単なる「流行りものが好きなミーハー」だと庇います。ちなみに目下の関心事は「ヒッピー」だそうです
。コイツは思想なんて持っちゃいねえよ
。
慎太郎の秘密
ある水曜日、兼子が「慎太郎には秘密がある」と言い出しました。慎太郎は毎週水曜日になると大きな荷物を抱えてどこかに出かけていくのだそうです。それが借金につながっているという兼子の妄想を信じた謙作は、こっそり後をつけることにしました。それで慎太郎の秘密を突き止めます。なんと慎太郎は毎週、寺が運営している養護施設に寄付をしていたのだそうです
。
ありがとう!徳さん!!
戦争孤児だった謙作もその施設で育ったそうで「徳さん」を知っていたそうです。慎太郎は戦時中に、赤ん坊だった夏子の兄にあたる息子を栄養失調で亡くしていたため、人ごととは思えなかったのだそう。
借金しながら寄付をしていた慎太郎のために、謙作は返済期日を伸ばしてもらったそうです。
願い事
父の行いに感動した夏子は、謙作と、互いのこれまでについてあれこれ語り合いました。その時、夏子は流れ星を見つけます。あ、願い事をしなくちゃ!!
夏子はたくさん願い事をしたそうです。1つじゃ足りないわと語る夏子に、謙作は欲張りだな、と笑います。
夏美はマリーとそんな二人を眺めながら、どうやら「過去」は変わっていないらしいことに気づきました。50年前にも「変なお手伝いのおばさん」がいたのを思い出したのだそうです。
その後、夏子と謙作の距離はどんどん近くなっていきます。夏子は謙作の繕い物をしながら、ちあきなおみの「四つのお願い」を口ずさみました
。謙作も好きだというと、夏子は今度レコードをプレゼントする、と約束します。映画のお礼よ
。
謙作は夏子に、中富が好きか、と尋ねました。夏子は好きだと答え、その理由は、正義感が強くて尊敬できるからだ、と語ります。先生は世の中のみんなを幸せにするために勉強を教えてるのよ。
謙作は、確かに中富は立派だが、俺には無理だと答えました。俺はたった一人の人を幸せにできればそれでいいや。皆がそれぞれ目の前の人を幸せにできれば、世の中の人全員が幸せになれるんじゃねえ?
マリーは夏美に、本当に謙作はひどい亭主だったのか、と念押しします。夏美が心を閉ざしていただけではないのか?そして謙作には、謙作の思いはいつかきっと通じるから結婚しちゃえ!とはっぱを掛けました
。
マリーは謙作に「古くからの言い伝え」を教えます。昔不思議な力を持つ流れ星が地球にぶつかって砕け散った。そのかけらを88個集めると魔法使いが現れて、願いを1つだけ叶えてくれるらしい。そのかけらは白っぽい石で、透かして見ると星のようなマークが見えるのだとか
。
でもね、人を殺したり、死んだ人を生き返らせたりするのはしちゃダメなの。それをしたら魔法使いが流れ星になっちゃうんだ。
Xデー
中富がいなくなったのは、夏子が万博に出かけた時のことでした。その日謙作は中富の秘密に気づいたそうです。なんと、爆弾犯は中富だったそうなのです。中富は、経済的な豊かさだけを追い求める当時の風潮に警報を鳴らすため、爆弾を仕掛けていたのだそうです。
本の続きを借りようと中富の部屋に入って爆弾を見つけた謙作は、中富の主張する「幸せな日本」の実現を信じました。が、どんな理屈があっても人を殺すのはダメだ、と反対します。空襲で家族を失った謙作には、暴力で物事を解決しようとする思想はどうしても許せなかったのです
。
先生が誰かを傷つけることで、先生を愛する人間だって悲しむことになるんじゃねえのか?
中富は、確かに夏子を愛しているが、それよりも思想の方が大事なのだと訴えました。それで謙作は、夏子が泣くのは見たくない、と語り、夏子を幸せにできないのなら、夏子の前から姿を消してほしいと頼んだそうです。
中富はもう暴力は使わないと約束し、下宿を出ていきました。
一途な愛
謙作はこのことを一切夏子には話さなかったそうです。ふたりはその後ごく自然に結婚したそうですが、マリーは、謙作はきっと「夏子はずっと中富を想い続けているに違いない」と思っていたのではないか、と分析しました。夏子は中富を愛していると思いながらも、夏子を幸せにすることだけを考えていたに違いない
。
それでも夏美あらため夏子は、謙作が夏子を愛していたなどとは思えなかった、と主張します。ずっとほったらかしにされてきたの。私だって苦しかったのよ
。
マリーは懸命に謙作を庇いました。謙作は一途に夏子を想ってきたのに、分かってあげないなんて切なすぎるよ。
証拠を見せろと迫る夏子に、マリーはそれを「3つめの願い事」と了解して叶えることにしました。ふたりは2020年の1月に戻っていきます。
謙作の秘密
なんと謙作は、マリーに教わったように、星のかけらを88個集めていたのだそうです。ついに88個集め終えた謙作のもとへ「魔法使いマリー」が現れました。謙作はマリーに「願い事」を託します。これまで夏子に良い思いをさせてやれなかった、俺が死んだら、49日が過ぎた頃にでも夏子の前に現れて「4つの願い事」を聞いてやってほしい
。
なぜ4つだったかというと、夏子からの初めてのプレゼントが「四つのお願い」のレコードだったからです。
謙作は、これでやっと肩の荷が下りた、と喜びました。マリー、頼んだぜ。
後悔
すべてが腑に落ちた夏子は激しく後悔します。あの人にもっと優しくしてあげればよかった。もっと向き合ってたくさん話して、もっと愛情に気づこうとすればよかった。私50年間も何やってたの?!
大事なことを伝えたいから、もう一度だけ謙作に会わせてほしいというのが夏子の最後の願いになりました。マリーは夏子を、謙作が亡くなる直前のあの日に戻します。そう、夏子が兼子と電話で話していた時です。
夏子は電話を切った後、謙作が差し出した茶封筒を開けました。そこには割引券などではなく「ひまわり」のチケットが入っていたそうです。夏子は思わず涙しました。
それ好きだったろ?
夏子は懸命に感謝の気持ちを伝えます。ありがとう、いつも私のこと思っててくれて。本当にありがとう
。
謙作はちょっと面喰いながらも外に出て、春になったらひまわりでも植えようか、と語りました。見送りに出た夏子は、そうね、そうしましょう、と答えると、帰ってきてね、と呼びかけます。必ず帰ってきてね。
謙作は怪訝そうに、何言ってんだよ、と言いながらも、夏子があまりに真剣なので、分かったよ
、と出かけていきました。じゃあ、行ってくるぞ
。
夏子は泣きながら「行ってらっしゃい」と送り出しました。
空には流れ星が落ちてきます。
まとめ
ドラマはここで終わってしまったのですが、あの流れ星はきっと「やっちゃいけないことをやっちまった魔法使いマリー」の魂だったに違いありませんね。つまりマリーは謙作を生き返らせたに違いない、謙作はきっと死なずに戻ってくるに違いありません。
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