知らなくていいコト あらすじと感想 第7話 ゆがんだ正義感
大石静香さん脚本、吉高由里子さん主演のドラマ、【知らなくていいコト】の7話はまた衝撃的でしたね~。でもここに来てようやく、このドラマの言わんとしていたこと=主題が分かった気がしました
。
予告にあったように、ケイトが刺されました。犯人は、前回夫に不倫をされた桜庭和美です
。和美は、ケイトが不倫を擁護するような記事を書いたから夫が帰ってこなくなったと逆恨みし、ケイトをの腕を刺したのです。
それでは怒りが収まらず、止めを刺そうとしたところに、尾高が身を挺して庇いました。それで尾高は背中を刺されてしまいます
。
この惨劇は週刊イーストのオフィスで行われたため、すぐに救急車が呼ばれ、和美も警備に取り押さえられました。和美がケイトたちを刺した様子もすべて動画に収められます。ちなみに尾高も命に別状はありませんでした。
岩谷はすぐに全員を徴収し、この「週刊イースト襲撃事件」を次号の特集にすると宣言します。
不倫報道も含めて「週刊イースト」の編集意図を世に問う。週刊イーストは正義の味方ではない。婚外の恋に対しても誰も弾劾するつもりはない。人間のさまざな側面を伝え、人間とは何かを考える材料を提供したいと考えている
。
ところが、この編集長、そして週刊イーストの意図に納得できない者がいました。それが野中です
。
野中は、ケイトと尾高への嫉妬も手伝って、ケイトが心底許せなくなりました。ケイト自身は何もしていないのに、まるで親の仇のように憎らしくなります
。
そこで野中は、この襲撃事件を取材に来た同業者に、ケイトの出自を暴露しました。
週刊イーストはいつもまっとうなことを書きますが、実は殺人犯の子供がそういう記事を書いているんですよ。不倫の果てに生まれた子供が不倫を糾弾してるんですよ!
この野中を見ていて、相模原障害者施設での大量殺人事件を思い出しました。その犯人は、障碍者には生産性がないし、手間も金もかかって家族に迷惑をかけるから、生きるに値しない、と語ったそうです。
100歩譲って、そう考えるのは犯人の自由です。が、だからと言って、障碍者を殺す理由にはなりません。介護の仕事が嫌なら自分が辞めればいいのです。パワハラの上司が嫌だからと言って殺していいはずがありませんし、ましてや、自分を攻撃するでもない障碍者を傷つけて良いはずがありません。
自分は、自分の考えは絶対正しいと思い込むことの危うさがここにはあります。野中は人を殺してはいませんが、ケイトを確実に「社会的に抹殺」しますし、そうしたくてこの暴露に踏み切ったのでしょう。ケイトを振ったのは当たり前だ、殺人犯のDNAを嫌ってどこが悪い!そう自分を正当化したかったのでしょう。それで世に問うた。
先の事件で犯人は「自己愛性パーソナリティ障害」と診断されたそうですが、野中はどうでしょうか?
今マスコミやSNSでは、毎日のように誰かの批判が飛び交っています。それは決して悪いことではないけれど、いつのまにか自分が「正義の味方」になったかのように勘違いし、自分の鬱憤をその批判で晴らしてはいないでしょうか。匿名であることに安堵して、本人の目の前では決して言えないような言葉を発してはいないでしょうか。(自戒の念を込めて書いています
)
もちろん不倫は良くないですが、ケイトと尾高は既に精神的な罰を受けているように見受けられます。
野中が自分の意思でケイトと別れるのは勝手だけれど、だからと言って皆に共感してほしいと思うのは間違いですよ。尾高から「サイテー」呼ばわりされたのがよほど悔しかったのでしょうね。自分は悪くない、悪いのはケイトなのに!って。
尾高との不倫はもってのほかだけれど、卑劣な野中とは別れて大正解でしたね。振ってくれてありがとう、ですよ
。
後はケイトが尾高との仲にどうケリをつけるか、ですね。時々でいいから会って(寝て)ほしいだなんて、自分をすり減らしていくだけですよ。
このドラマが単に不倫を描くだけじゃなく、不倫という「罪」を本人や社会がどう裁くのか、他人のプライバシーにずけずけと入り込んで正義感を振りかざす社会は果たして健全なのか?を問いかけていると知って嬉しかったです。
その一方で、週刊誌として作家(西村まさ彦~牧本求@俺の話は長い)のご機嫌伺いをしなければならないというシーンは文句なしに楽しかった。東山の「一本締め太郎
」は実にお似合いですね
。でも黒岩の容疑(?)はインフルではなくコロナじゃないのでしょうか
。
「知らなくていいコト」は来週の放送も楽しみですね。
これまでに視聴した日本のドラマの視聴リストはこちらです
: 視聴ドラマ一覧~日本ドラマ編
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