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下山事件〜NHKスペシャル 未解決事件 File.10 1&2部を視聴して

先日放送された「NHKスペシャル 未解決事件 File.10 下山事件」の1部と2部を視聴しました。これが実録ドラマとドキュメンタリーでなければ、めちゃくちゃ面白い社会派ドラマだったと感動するところですが、そうではなくて現に起きた事実なのだと思うと、おばさんもまた、主人公の最後の言葉を(自己流に解釈して)繰り返さずにいられません。

独立国家の検察として、我々は本当に独自の判断を下しているか=日本は本当に独立国家なのか!?

1部は実録ドラマ、そして2部はそれを裏付けるドキュメンタリーの構成ですが、ここでは双方をネタバレでまとめさせていただきました。

占領期最大の謎

1949年、第2時世界大戦で敗戦した日本はアメリカGHQの占領下に置かれていました。その年の7月、国鉄の初代総裁を務めた下山定則が突如失踪した後、礫死体で発見されます。

現場を検証した医師はその遺体の様子から「自殺」と断定しましたが、東京地検の主任検事=布施健(森山未來〜志士十五@岸辺露伴は動かない)は、他殺の可能性を疑いました。医師は司法解剖を勧めます。案の定、解剖をした東大法医学教室は「死後轢断」と判断しました。つまりは「他殺」ということです。

ところがその後、憂鬱そうに徘徊する下山を見たと言う目撃証人が多数現れました。下山は遺体で発見される2日前、GHQからの命令で3万5千人もの国鉄職員に解雇通告をしていたのです。GHQが実際に命じたのは10万人の人員削減でした。理由は停滞する日本経済を立て直すためということでしたが、実際は「他の思惑」があったようです。

労働者たちはこのGHQの命令に激しく抵抗しました。各地で暴動が起き、社会不安が広がる中での下山総裁の謎の死です。この9日後には列車が暴走した三鷹事件が起きました。当時の首相=吉田茂は、この三鷹事件の首謀者を「一部の労組と共産主義者」と断言します。

その結果、下山の死も、過激な共産主義者による他殺と目されるようになりました。ちなみにこの1ヶ月後には、レールが故意に外されて車両が脱線した松川事件も起きています。

捜査本部の見解も「自殺」と「他殺」の2つの意見に分かれました。

新聞記者

そんな時、下山事件を取材していた朝日新聞の記者=矢田喜美雄(佐藤隆太〜豊臣秀長@どうする家康)が新証拠を発見します。下山が列車と接触する手前で下山の血液と見られる血痕を見つけたのです。矢田は、法医学教室の教授に取材に行ったらその前に法医学を学べと言われたそうで、現場付近でルミノール液を使ってこの証拠を発見したのだそう👍。

布施は、これからの犯罪捜査は客観性が必要だ、と感動します。科学的証拠の積み上げが人権を守る

ところが、その直後、警視総監が、現場に断りもなく、下山の死因は自殺とも他殺とも言えない、と公表しました。会見場に集まった記者たちは、何のための会見だ、と憤慨しますが、その後、矢田が見つけた血液はほぼ間違いなく下山のものと判明します。それからも科学的証拠が次々と揃い、他殺はほぼ確定となりました。

そんな時に、またしても警視総監が、今度は下山事件の捜査本部を解散すると通告します😨。布施は納得できず、次席検事の馬場義続(渡部篤郎〜関口氏純@どうする家康)に捜査の継続を訴えました。たとえ「強い力」が働いていようとも、我々検察は真実の追求を続けるべきです!!怒り炸裂

布施は馬場から許可を得て地下捜査を続けることにしました👍。こんな不自然な形で終わらせてたまるかっ!!

李中煥

捜査を続けていた布施の元に小倉刑務所に詐欺罪で服役中の李中煥(り・ちゅうかん、玉置令央)から密告状が届きました。下山を殺したのはソ連だと言うのです😱。下山が殺された年は中華人民共和国が成立し、共産主義勢力が急激に拡大していた時代でした。

布施は早速小倉へ飛び、李の話を聞きます。李はソ連のスパイを名乗り、犯人でなければ知り得ないような細かい事実を知っていました。布施は詳しい調書を取って東京に戻ろうとします。ところが東京駅に着いたところで、その調書をカバンごと盗まれてしまいました💦。

布施はてっきり、こちらもまた取材を続けていた矢田が犯人だと思い込みますが、彼の記事に李の供述内容は含まれていません。

一体誰が?そう思っていたところに渡辺修二(前田旺志郎〜天童充@舟を編む〜私、辞書作ります)という情報屋が現れて、李中煥の話はでっち上げだと証言しました。なんと、下山を暗殺したのはソ連ではなくアメリカCIC(アメリカ陸軍対敵諜報部隊)で、それをごまかすために「二重スパイ」の李を使って、布施たちに偽の情報を流したというのです💀。

反共産主義の急先鋒を担うCICは、下山がソ連の謀略によって殺されたと偽装して、日本国民の共産主義への反発を強めようとしたのです。アメリカは日本を「反共の砦」にしたかったのです。

李の供述調書が盗まれたことが、渡辺の証言を裏付けました。アメリカは彼らを信用しておらず、李が指示通りに動いたかどうかを確かめるために、供述調書を盗んだのです。ご丁寧なことにそのCICから吉橋という男もやってきて、李は大嘘つきだという理由から、彼の捜査を中止するよう命じました。

これぞまさにCICの下山事件への関与を自白しているに他なりませんが、彼らは、占領下の検察になどどうせ何もできないとタカを括っていたのです。

同じ頃、矢田が李に会いに行っていました。李は、強制送還が決まったとひどく怯えています。何かしくじった。俺はアメリカに消される😭!!矢田は二重スパイが危険なことぐらい分かっていただろうと諭そうとしますが、李は「主義主張など生きるか死ぬかの人間にはどうでもいい、食うためにやった!」と叫びました。本当に苦しんでいる人間なら何でもやる!!怒り炸裂

一方では渡辺が布施に、アメリカの謀略を密告したのは、日本が再び、今度はソ連と戦うのを阻止するためだと伝えました。彼は戦地で山と積まれた遺体を散々目にしてきたのです。日本が焼け野原になるのは嫌なんだ!

アメリカの思惑

李が大韓民国に強制送還された2ヶ月後、朝鮮戦争が勃発しました(1950年)。東西冷戦の代理戦争と呼ばれたこの戦いこそ下山が殺された理由だったことが明らかになります。アメリカは日本の国鉄を軍需物資を運ぶ手段に使うつもりでした。英語を流暢に操る下山はその意図を察し、のらりくらりと答えを引き延ばしていたため、アメリカは彼を暗殺するという強硬手段に打って出て、国鉄引いては日本国民を恐怖で黙らせたのです💀。

布施はすでにそのことに気づいていましたが、GHQからの命令で捜査は完全に打ち切りとなりました。あの後も李の消息を追い続けた矢田も同じようにアメリカの関与に気づき、手も足も出せない布施たちを激しく罵倒します。国家権力がアメリカの言いなりでいいのかっ!!💢

布施が叫び返しました😡。日本はまだ独立していない!!

その独立が認められたのは1年後の1951年9月8日のサンフランシスコ平和条約です。これに調印した吉田茂はその数時間後に「日米安全保障条約」にサインしました。好意的に解釈すれば、これまでアメリカに追従してきたのはこの独立を勝ち取るためだったと言えるでしょうが、結局は金魚の糞でしかありません👎。

10年後

下山事件の真相は依然として闇に包まれたままでしたが、10年経つと、皆が少しずつ真相を語り始めます。ちょうど「未解決事件File.09 帝銀事件」に登場した松本清張(前回と同じ大沢たかお〜フレッド和田勇@東京にオリンピックを呼んだ男)も「日本の黒い霧」というノンフィクションを発表しました。そのネタを提供したのは讀賣新聞貴社の鑓水徹(溝端淳平)という人物です。

松本清張全集 (30) 日本の黒い霧
松本清張全集 (30) 日本の黒い霧

またCICに利用された元陸軍軍人の宮下英二郎も全て話してくれました。下山事件を起こしたのはCICのアーサー・フジナミが率いるチームだったそうです。第2部ではこのフジナミの娘が当時の事実を話してくれました。フジナミは娘に「下山の暗殺」について語ったそうです。

下山を殺害したのはG2(参謀第2部)の傘下にあった「キャノン機関」で、殺した場所はそのアジトの本郷ハウス。反共政策のための秘密工作を行っていたキャノン機関のリーダーはアメリカ人ですが、実行部隊は宮下のような元軍人の日本人で、皆使い捨てにされたそうです。

彼らのほとんどは陸軍中野学校などの出身者で、戦時中の任務を明かせないばかりに仕事に就けず、困窮していたところを狙われました。スパイとして養成されて特務機関に送り込まれ、暗殺や爆破などの秘密工作を行う精鋭部隊となったそう。下山を殺したのもその一人です。実際に手を下したH.Oという日本人は、捕まる恐怖に耐えられず、自殺したそうです。

一方で布施たちもまた動き出しました。戦時中に諜報活動や特殊工作を行っていた特務機関を徹底的に洗い直すことにしたのです。が、児玉誉士夫らの怪しい人物は浮かんでも、確証を掴むことはできませんでした。

そこで再び矢田が現れて大きなヒントを与えてくれます。矢田は「自殺説」を裏付けた下山は「替え玉」だったのではないかと推理したのです。反共を煽りたいアメリカにとって「自殺説」は邪魔ですが、実際に下山を殺した実行犯にとっては「自殺」の方が好都合=罪を被らずに済むと考えたのではないか。また下山を殺したのが軍閥の手先=旧日本軍だと知られたら、国民の軍に対する忌避感がいや増してしまうとの恐れもあったに違いない。

この事件が複雑になったのは、さまざまな立場の思惑が絡み合っての結果ではないか。

また鑓水がやってきて真相を明かそうとします。彼は児玉とも接触し、核心を掴んでいました。矢田の勧めで布施に会いに来た時は、その布施にこう説得されたそうです。

どんな時も手を汚し傷つくのは弱い者たち。彼らは命からがら戦場から戻ってきたのに、わずかな金で権力者の目的遂行のために利用されて捨てられる。こんなことがいつまでも許されていいはずがない。あなた(鑓水)も、名もなき者たちの声を社会に届けたいと思っているのではないか?

ところがその鑓水もまたアメリカに「家族を殺す」と脅されて口を閉ざしてしまいました。第2部では、この鑓水の息子が「下山事件の犯人はアメリカ軍」と証言しています👍。

鑓水を説得しようとした矢田も襲われました。命は無事でしたが、布施が彼を引き止めます。ひとりの人間の命は国益よりも優先されなければならない〜そう私は思っている。

矢田は、下山の命はどうなるんだ!と食い下がりました。

その時は黙っていた布施は、のちに一人で児玉に会いに行きます。児玉は「これはあくまでも美談だ」と前置きし、下山は筋金入りの鉄道マンとして、国鉄がアメリカの道具にされるのを守ったのだと語りました。でも結局は殺されて、その後日本、そして国鉄はアメリカの思い通りになったのです。

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1950年6月25日、北朝鮮軍の奇襲で朝鮮戦争がはじまりました。米韓軍を中心とした国連軍が北朝鮮軍と戦うため、日々消費される膨大な物量を支えたのは、兵站基地となった日本の鉄道輸送網でした。

布施の結論

アメリカと日本の旧軍閥が反共と再軍備で結びついた。かつての戦犯がアメリカと手を組み、着々と軍の復権に向けて暗躍していると知ったら、日本国民はアメリカへの不信を募らせる。吉田茂はそこを阻止したかった。親米の空気は何としても維持しなければならない。少なくとも「独立」を勝ち取るまでは。

布施は自分の推理を直接吉田にぶつけようと試みましたが、その前に異動を命じられました。こうして下山事件の捜査は名実ともに打ち切られたそうです

布施が最後に馬場に会いに行くと、馬場は「アメリカとの関係は日本の存亡に関わる」と語りました。布施は「その言葉で全てが片付けられていく」と皮肉ります。

検察は国家権力だというが、与えられた権限など無いに等しいのに、それでも日本は主権国家と言えるのか?

国家主義を捨て、国民一人一人の幸福を希求するのが戦後の理想だったはず。それができないなら、アメリカが日本にもたらしたのは真の民主主義などでは無い!

馬場は、物事はそれほど単純では無い、あらゆる混沌の中で、最もまともな判断をするしか無い、そしてそれがアメリカとの関係の継続だ、と主張しました。布施は憤懣やる方ないといった表情を浮かべながら、でも微かに頷きます。

下山事件の時効まであと1年を残すのみとなった時、矢田が布施を訪ねてきました。いまだに事件を追い続けているけれど、時効が成立したらどうしようとつぶやく矢田に、布施は「権力を監視しろ」と伝えます。少しでも強い力を感じたら、迷わず書け!💢 それは以前、矢田が戦時中に正しい報道ができなかったと悔やんでいたことを受けての言葉でもあります。矢田はそう語った布施に「偉くなってください」と伝えました。

ロッキード事件

そしてその願いが叶ったかのように、ロッキード事件で田中元総理が逮捕された事実が報道されます。矢田は、ついに布施が権力の中枢に斬り込んだ😍!と大いに感激していましたが、その布施の表情は暗いままでした。彼はまたしてもアメリカに踊らされたのではないかと思ったそうです。田中元総理は日中国交正常化の功労者ですからね。

ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス
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我々は独立国家の検察として独自の判断を下しているか?

まとめ

ドラマは「布施の(この)自問は今も続いている」と締め括られました。ドラマでのこの「今」は1976年を指しており、布施さんも既に1988年にお亡くなりになったそうですが、実際には令和の今も同様だとやりきれなさでいっぱいになりました。

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ちはや
2024/04/03 (Wed) 11:51

こんさん、こんにちは~。

事件としては聞き覚えがあったものの、恥ずかしながらここまで深く詳しいことは知らなかったので、戦後、各国の思惑がこんなに入り乱れて、不気味で凄まじいことになっていたとは…と恐怖を覚えました。

大沢たかおさんの松本清張がやっぱり強烈で、「帝銀事件」もNHKプラスで見直しちゃいましたよ。

ドラマとドキュメンタリーという構成もわかりやすいので、過去を学ぶ良い機会でもあります。骨太な未解決事件シリーズ、次も期待したいです。

こん
ちはやさんへ
2024/04/03 (Wed) 18:20

お返事遅くなってごめんなさい

ちはやさん、こんにちは〜(^^)/。

>ここまで深く詳しいことは知らなかった

のは、ちはやさんのせいじゃなくて、日本の歴史教育のせいですよ(`・ω・´)。今からでもこうした事実を放送をしてくださるのは本当にありがたいですよね。

私も以前「帝銀事件」も見たんだけど、今回の方が衝撃的でしたね〜。また森山未來さんがめちゃ上手くて。一緒になって憤慨してました。

昨夜は「白い巨塔」に感銘を受けてしまい、2日続けて長々と語ってちと疲れ果てました(爆。でもそれぐらい書きたい!と思える作品に出会えて幸せいっぱいな気分です( ̄▽ ̄)。で、お返事遅れちゃいました〜ごめんなさい。こん