麒麟がくる あらすじと感想 第31話 逃げよ信長
長谷川博己さん主演の大河ドラマ、【麒麟がくる】の31話は「逃げよ信長」です。これはまた実に面白かったですね~。染谷さんの信長は実に個性的で魅力的ですし、その信長が、頑固で思い通りにはならないけれどやっぱり一目置いてしまうのが光秀なんですよね
。光秀もそこをちゃんと心得ている
。
以下早速ネタバレです。
信長の進軍
信長は光秀に、実に嬉しそうにこう言いました。天下静謐のため一層励むようにということ、これすなわち戦の勅命なるぞ。
これ以上にない大義名分を得た信長は諸国の兵を従え、朝倉義景のいる越前を目指しました。信長には三河の徳川家康(風間俊介~石橋和也@サバイバル・ウェディング)、摂津の池田勝正、大和の松永久秀(弾正)などが従います。琵琶湖の西岸を北上し、若狭・佐柿の国吉城に入りました。弾正曰く、近隣の地侍や国衆たちもこぞって参陣してきたそうです
。
浅井長政の裏切り
一方、二条城では晴門が何やら画策していました。若狭入りした織田勢が東へと向かったと聞いた晴門はしたり顔で、最初から狙いは越前だと頷きます。朝倉に到底勝ち目はないが、一乗谷から援軍が来れば情勢が変わらぬでもない
。
その言葉の意味はすぐに明らかになります。
信長はまもなく朝倉の領地=敦賀郡全域を占領すると、小谷城を、妹市の夫である浅井長政(金井浩人)に任せて、一気に一乗谷の朝倉義景を討つ策を立てました。が、弾正は、この金ケ崎に入ってから様子がおかしいと指摘します。城を自ら明け渡そうとしているとしか思えないというのです。これには家康も同意しました
。
なんと浅井長政は、義兄の信長を裏切って義景に付くことにしたのです。長政が言うには、信長は市(井本彩花~九重遥@ドクターX)が輿入れしてきた際、浅井と長年のよしみを通じてきた越前の朝倉には手を出さぬと約束していたのにその約束を破ったのだそうです
。長政は、義景が討ち果たされた暁には、今度はこの近江に攻め込まれると憂えていました。
市は、兄はそのような人間ではないと反論しますが、長政は、信長は実の弟を殺した、と黙らせます。これより出陣いたす!
金ヶ崎の退き口
左馬助が光秀に長政の様子を知らせてきました。光秀は、作戦会議中の信長に目配せをし、別の部屋に呼び出します。信長は、長政が手勢を連れて小谷城から出たと聞くと、本当に不思議そうな顔をしました。わしは援軍など頼んでおらんぞ?
が、すぐにその意図に気づきます。まさかわしを??
長政の兵は9千にも上り、ここで迎え撃つのは死を意味します。光秀は信長に逃げるよう勧めました。が、信長は、帝に認めてもらったからには逃げることなどできぬと意地を張ります。ただちに一乗谷に乗り込む!そこをどけっ!!
信長に腹を蹴られても、光秀は動きませんでした。どきませぬっ!!
信長は光秀を睨みつけますが、光秀もその信長から目を離さず、何とかして信長を説き伏せようとします。
帝に天下静謐を託されたなら、その大任を果たすまで、なんとしても生きなければならない。
織田信長は死んではならぬのです!!
そう叫んで叩頭した光秀を前に、信長はただ立ち尽くすばかりでした。ゆっくり踵を返して床にどすんと座り込み、一人で考えたいから先に戻っていろと、それまでとは打って変わった静かな口調で命じます
。
これに手ごたえを得た光秀は、「はっ!!」と叫んで退室しました。
光秀が他の武将のところへ行って信長を待っていると、異様なうめき声が聞こえてきます。信長は大声を出さぬよう歯を食いしばり、顔を真っ赤にして涙を流しながら、必死でこの屈辱に耐えようとしていたのです
。
うう~っ!!うわ~~~っ!!
それが大将の声だとは思いもよらぬ柴田勝家は、この大事に何事か!と怒り出しました。光秀が慌てて、自分が見てくると立ち上がると、もうその声は止み、信長がいとも冷静な顔で戻ってきます。光秀も黙って頭を下げました。
近江より急ぎの知らせが参った。浅井長政が挙兵した。狙いはこの信長。朝倉とともに我らを挟み撃ちにするつもりであろう。
皆が騒ぎ出すのを「静まれ!」と怒鳴って止めた信長は、引き続き、退き戦を光秀に任せると語りました。わしは逃げる。
皆呆気にとられる中、弾正が信長を追いかけました。光秀は、迷っている暇などない、一刻も早く信長を逃がさねばならぬと皆に言い渡します
。その采配は柴田に任せました。光秀はしんがりを務めると宣言して皆に檄を飛ばします。おのおのお支度を!!
光秀が死をも覚悟して動き出そうとすると、藤吉郎が庭に控えていました。藤吉郎は、貧しさゆえに妹を見殺しにしてしまったと涙ながらに語り、そんな自分に生きる価値があるのか、せめてひとかどの武将として死にたいと、しんがりを申し出ます。光秀は、しんがりを務めのは命と引き換えだと念を押すと、藤吉郎は、死んで名を残せるなら本望だと答えました
。
光秀は、藤吉郎とともにしんがりを務めて浅井朝倉軍を討ち払い、何とか血路を開きます。
その時光秀は、戦の無い麒麟がくる世にするためには、今は戦をしなければならないと痛感したそうです。
光秀がなんとか妙覚寺に戻ってくると、一歩先に生還していた藤吉郎が駆け寄ってきました。ふたりは互いの無事を喜び合います。最後は敵を欺くために二手に分かれて行動したため、光秀は大いに心配していたのだそうです。
すると藤吉郎は泣き崩れました。藤吉郎がしんがりを務めたと言っても誰も信じてくれなかったのだそうです。どこかに隠れていたに違いないと嘲笑された藤吉郎は悔しくてならなかったようです
。
これを聞いて怒った光秀は、他の武将のところへ乗り込んでいき、光秀の活躍を称えて酒を勧めようとした柴田勝家を怒鳴りつけました。その酒は誰のおかげで飲めるとお思いかっ!?木下殿は立派にしんがりを務められた!!
勝家が焦っているのを尻目に「御免!」と踵を返した光秀を、藤吉郎は廊下に座って待っていました
。かたじけのうござる
。
信頼の証
信長は部屋にこもって誰とも会おうとしなかったそうです。でも光秀が部屋へ行くとすぐに中に通されました。信長は帰朝からの手紙を呼んでいたようで、それを光秀に投げてよこします。そこには越前攻めはどうなったのか、一番に知らせてほしいと書かれていたそうです
。
何と返事をしたものか、と途方に暮れていた信長に光秀は、キッパリ、光秀自身、此度の戦は負けたとは思っていないと答えました。
信長が生きている。生きているなら次がある。次がある限り、やがて大きな国が作れる。大きな国ができれば平穏が訪れ、きっとそこに麒麟がくる。
光秀は京に戻ってくる時に麒麟の声を聴いたような気がすると語ります。その麒麟は「信長には次がある」と言っていたそうです
。
信長は大声で笑い出しました。そうか、それは面白い!
光秀は、浅井の裏切りによって撤退を余儀なくされたが、本隊をほとんど失うことなく生還できたのは信長ならではだと褒めたたえました。義昭にも帰蝶にも、そして帝にもそのように報告すればよいのだと。
信長は生きて帰った。次がある。
義昭の反応
これまではすべてを信長に任せていた義昭も、この「大敗」に気を良くしていました。なぜなら信長は義昭を早くも傀儡扱いしていたからです。義昭はそんな自分を不甲斐なく思い、諸国の大名に敬われるような将軍や幕府にならねばならぬと心に誓っていたようです。
わしは、兄上の轍は踏まぬ!
家康との再会
家康はかつて薬屋に変装した光秀から干し柿をもらったことを覚えていました。家康が「忍耐」を覚えたのは光秀のおかげだと感謝します。そして、今回光秀がその結論に達したように、戦を無くすために今は戦をしなければならぬが、この禅問答のような行動をいつまで続けねばならぬのか、と悩んでいました。
感想
これまで浅井長政と言えば美丈夫と相場が決まっていましたが、さすがに1シーンだけの登場では、それも叶わなかったのでしょうか。でも肖像画などを見る限りでは金井さんはかなり似てらっしゃいますよね
。個人的に長政は柴田勝家役の安藤政信さんのイメージで、柴田勝家はもっとゴツイ印象なんですけどね~と思わず下世話な感想で申し訳ござりませぬ
。