ヘチ~王座への道 最終回 あらすじと感想 不可能な夢を追い求めて
チョン・イルさん主演の【ヘチ~王座への道】の24話=最終回を視聴しました。おばさんが抱いていた疑問(あ~なんでこんなに素晴らしい王様が、あんなことを!)は直接には解けずじまいでしたが、政治や人生は予測不可能で常に過酷なものだというこのドラマが伝えようとした意図には大いに共感できました
。
まず密豊君ですが、逃げようと思えば逃げられたのにわざわざ王宮に戻ってきたのは「王として死にたい」と願ったからだそうです。それも、先に逝ったユニョンが、私が待っているから怖がるな、一足先に王妃になっているから、あなたは王として来い
、と語ったかららしいですね
。
本当は怖いのに、勇気を出して戻ってきた密豊君に、クムは、以前からそのぐらいの覚悟を持って生きていれば、玉座を手に入れたのは密豊君だったかもしれないと言い渡しました。が、悪逆非道の限りを尽くした今ではもう遅すぎる。
クムが兵士たちに連行するよう命じると、密豊君は近くにいた兵士の刀を奪い、クムに襲い掛かるように見せかけて、自らの胸を刺しました。密豊君はあくまでも罪人として処刑されるべきだったところを、自害することで王としてのプライドを守ったということでしょうか。
この話を聞いたミン・ジノンはひどく後悔していました。元々密豊君を連れてきたのはジノンだったそうです。老論派の傀儡にするつもりだったが間違いだった。
朝廷のために捧げた人生だったはずが、最後は後悔ばかりだったと語るジノンにテグは、後悔しないほうが恐ろしいと語りました。
それはクムも同様でしたね。クムはヨジに、今後もこうしたことに直面したら、その度に自分に王の資格があるかどうか悩むだろうと語りました。ヨジは、そうして自省するクムだからこそ、王の資格があるのだと励まします。己を顧みてこそ「傲慢」から逃れられるのです
。
一方で、インジャやビョンジュは公開処刑にされました。インジャは覚悟を決めていましたが、ビョンジュは最後まであがいていましたね。その様子を見たムンスは、ジョンソクを殺すという「獣の道」を選んだ時にビョンジュの運命は決まっていた、とのたまいました
。あの時「人の道」を選んでいれば、こちら側にいられた。今や南人も登用される世の中になったのに
。
往生際の悪いビョンジュは、いつかはムンスも裏切られると嘲笑しますが、ムンスは、たとえそうなっても後悔はしない、と断言します。おまえのように震えたりはしない
。
またタルムンは、ユニョンの遺体を小船に乗せてたくさんの花を飾り、あの世に送ったようです。ああすることでいつかは海に合流し、遺体も海の藻屑と消えるのでしょうか
。
クムは、新たな戦いに余念がありません。毎朝の朝議では2時間も重臣たちを立たせたまま議論を重ね、その後は日に3度の講義で説得を続けたそうです
。グァンジャがクムの体を心配すると、クムは「座っていられるから大丈夫~これが王の特権だ」と笑いました
。また司憲府でもクムの改革を支持する署名が集まります
。
クムはさらに民との対話=「臨門」(イムムン)を行いました。グァンジャは、民と直接対話するのは難しいと心配しますが、クムは己の出自のために、これまでもずっと民と語り合ってきたと説明します
。
実際に開かれた臨門では、以前より懸案だった「納税」に関する訴えが相次ぎました。民たちが特に困っていたのは兵役の代わりに税金を納める「軍役」だったそうです。それでクムは、現在民が負っている税の半分を両班に課すと明言しました
。英祖の取った政策として有名な「均役法」ですね。
当然、重臣たちは猛反対しますが、クムは、民こそが国の根幹だと反論し、民たちによる「多数決」を実行しました。
均密愛民、節用蓄力
税金を均等にし、民を愛する、節約をして力を蓄えると書かれた扁額を見た民たちから感動の声が上がります。
臨門が長引いたので、水刺間では食事の準備に追われました。これをヨジのみならず、大妃も手伝います。大妃はヨジをからかって、大妃付きのはずなのに、いつもクムの世話ばかりしているから、今後は王様付きにするようチョホンに命じました
。
それから1年が経過しました。ムンスは暗行御史として活躍し、チャンダルやアボンを従えて水戸黄門のように巷の不正を解決しています。
クムに「巷の王」の異名まで取られたタルムンは、それを本人を前にチクチクやりながらも、クムへの協力を惜しみませんでした。
朝廷を去ったジノンは、彼を捜し出して訪ねてきたクムに「ヘチ」について語ります。
善悪を区別するのは現実では不可能だ。この世に存在するのは勝者と敗者だけであり、権力を失うことはすなわち死を意味すると考えていたが、今は、その不可能なことを夢見るのが政治であり人生だと考えを改めた。いつかクムも失望する時がくるだろうが、その日ができるだけ遅く来ることを願っている。
後に我が子をその手で殺したクムは、たとえどんな理由があろうとも、絶対に後悔したに違いありませんね。
クムはこの素晴らしい先達の言葉を胸に、その後もただひたすら民のために力を尽くしました。しょっちゅうお忍びで出かけるのは、その方が気楽に民の声が聞けるとともに、必ず後を追ってくるヨジの手を大っぴらに握れるからでもあるらしい。
民の王として知られた英祖の良い一面をタップリ堪能させていただきました。毎回足を運んでくださいました皆々様には心より御礼申し上げます
。次回はパスさせていただきますが、「コウラン伝」が放送され次第、また語らせていただく所存ですので、是非またお訪ねくださいますように
。
←前回のレビュー 次回のレビュー→
韓国ドラマガイド ヘチ 王座への道 前後編 (講談社 MOOK)
これまでに視聴した韓国ドラマの視聴リストはこちらです
: 視聴ドラマ一覧~韓国ドラマ編